検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:38,779 hit

動揺 ページ9





反応したも、既に遅し。
自巳に腕を取られ、背負い投げを決められる。
顔面の横に、短刀を突き刺して。


「…あの、降参してくれません?早く終わらせたいんですよ」


そう言って見下す自巳の声は、ひどく冷たかった。
会場は静まり返り、自巳の声がやけに響く。
はぁっと一息ついて、麗から一歩離れる。
もう終わりか。
そう思い、横を向いた時だ。
冷たい、自身と似た眼を持つ人を見つけてしまったのだ。


「A」


「っ……と、さん…」


確かに、自分だけに聞こえた声。
自巳は固まり、小さく呟く。
それがいけなかった。


「っやあっ!!!」


はっと気づき、双剣を召喚し防御の体制になり、後ろに飛ぶ。
だが、麗の方が速かった。

ばさっと自巳の長ったらしい前髪が切れた。
麗のナイフが当たったのだ。
黒髪が風に揺れる。

黒髪の奥にある、真紅の目が、虚ろに光る。


「え…」


華麗に着地した自巳。
すぐに体制を立て直し、麗の胸元をつかみ、場外に飛ばした。
いや、投げ飛ばしたの方が正しいのだろうか。
麗の体は床に強く打ち付けられた。

はぁはぁと肩で息をする自巳。
ちらりとの横を見る。そこには何もなかった。

わぁっと観客席から声が上がる。
ふらっと倒れかける自巳だが、いつものように姿勢を正し麗の元に歩み寄る。


「いっ…ち、近寄んないで!!」


手を差し出す自巳の手を振り払う。


「……うっさいですねぇ。あんたを治してやるんですよ。すぐに痛みから解放されたいなら、掴んでください」


何もうつさないような、真紅の目に見つめられ、麗は渋々手を握った。
途端、睡魔が体を襲う。
ぱたんと横になる麗を見て自巳は駆けつけてきたSクラス達に眼を向けた。


「まいえんじぇる!大丈夫?前髪とか…」

「姫川どうすんだよ」


「…姫川さんは、今治療中です。保健室まで運んでやってください。前髪などは平気です。では」


さっさと立ち去る自巳を止めたのは、まふまふだった。



「……あんた、何者なの」


「…普通の人間ですよ?」



訝しむまふまふの眼を見つめ返し、自嘲するかのように笑った。





教師の考察→←何で



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (86 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
138人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , 学パロ , 能力   
作品ジャンル:ラブコメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - なっ、、、、、最高やん!! (10月8日 20時) (レス) @page14 id: 7af3ce7feb (このIDを非表示/違反報告)
Marina3931(プロフ) - めっちゃ面白いです!続き気になります!更新頑張ってください!応援してます! (2019年3月24日 21時) (レス) id: 51b9f66c6c (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 序章が終了になって、早く続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年3月20日 20時) (レス) id: c428feaf44 (このIDを非表示/違反報告)
闇に染まった林檎 - いろはす@みかん味さん» 有り難う御座います。文才もっと鍛えられるよう、頑張ります。 (2019年1月21日 18時) (レス) id: 1a0ea6d466 (このIDを非表示/違反報告)
いろはす@みかん味(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年1月20日 23時) (レス) id: 467fd6b5c9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:闇に染まった林檎 | 作成日時:2019年1月19日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。