#朝 ページ3
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「おはようございます」
ガラッと音を立て、はいってきたのは自巳 A。
先ほどまで騒がしかった教室は一瞬で静まったが、また騒がしくなる。
そんな中、自巳は自分の席で黙々と読書を始めた。
季節は夏の手前。
少し暑くなった教室でも涼しげな顔をしているのは自巳だけだろう。
自巳が一ページめくったときだ。
「まいえんじぇるー!!おはっよぅ!!」
「…96猫さん、おはようございます」
元気な挨拶をするのは96猫。
彼女は雄一学校で話しかけてくれる生徒。
自巳の、初めての友達である。
「ね、なんで前髪切ったり眼鏡外したりしないのー?絶対可愛いのに。わしのえんじぇるせんさーがそういってる」
「……まだきったりする予定はないです。めんどくさいですし」
えーっと口をとがらせる96猫を無視し、本に視線を戻す自巳。
だが、それは自巳にかかった影により遮られた。
「…おっはよぉ!96ちゃん、地味子ちゃん!何話してるの?」
聞き慣れた甘ったるい声に見上げると、目を細くした人気者、姫川 麗がたっていた。
お得意の笑顔をこちらに見せ、笑っているが目は笑っていない。
「おっ、麗〜!今な、まいえんじぇるのかわいさを話しててん」
96猫は、自巳のことをまいえんじぇると呼んでいる。
ふぅ〜んとまたも目を細める麗に、96猫は焦ったように“麗の方が可愛いで!”と笑った。
「それならいいんだけど〜。私が地味子ちゃんより劣ってるわけないもん〜!!ね〜!!?」
周りの生徒に呼びかける麗。
こくっと頷く奴らがほとんどだった。
だが、その間も黙々と読書する自巳。
気にくわなかったのか、麗は自巳の机を蹴り飛ばした。
荷物が散らばり、黙って拾う自巳の耳元で、麗が言い放つ。
「地味子は地味子らしく陰で生きてなさいよ。96ちゃんに関わるな。」
ね?とかわいらしく首をかしげる麗。
あわあわと焦る96猫はどうしたらいいか分からなくなった。
自巳は一瞬、麗に目線を向けると、すぐに元に戻した。
キーンコーンカーンコーン。
そう、無機質なチャイムが教室に響いた。
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暁(プロフ) - なっ、、、、、最高やん!! (10月8日 20時) (レス) @page14 id: 7af3ce7feb (このIDを非表示/違反報告)
Marina3931(プロフ) - めっちゃ面白いです!続き気になります!更新頑張ってください!応援してます! (2019年3月24日 21時) (レス) id: 51b9f66c6c (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 序章が終了になって、早く続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年3月20日 20時) (レス) id: c428feaf44 (このIDを非表示/違反報告)
闇に染まった林檎 - いろはす@みかん味さん» 有り難う御座います。文才もっと鍛えられるよう、頑張ります。 (2019年1月21日 18時) (レス) id: 1a0ea6d466 (このIDを非表示/違反報告)
いろはす@みかん味(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年1月20日 23時) (レス) id: 467fd6b5c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:闇に染まった林檎 | 作成日時:2019年1月19日 18時