ナイフが42本 ページ47
時は放課後。
ここで私は残りの二人に会わなければならない。
その内一人はそこらへんに寝ているのが見つかると思っていたので、あまり焦らなかったのだが
こうなるなら、もっと熱心に探しておけば良かったと後悔する。
スバル君はあれから一度も授業に来なかった。
拗ねて帰ってしまったのだろうか。
兎にも角にも急いで探さなければ、ノルマはたっせい出来ない。
こうなったらききこみ調査だ。
私は警察にでもなった気分で廊下を歩いている人に目撃情報をきいてまわる。
『あの、すみません。逆巻...逆巻シュウさんかレイジさん、見てません?』
私が最初に声を掛けたのは二年生の女の先輩だった。
声を掛けると素直に立ち止まってくれ、とても優しい人だなぁと思った。
だが。
逆巻、という名を発したとたん、そのにこやかだった表情は一変。
飛ぶように何処かへ消えてしまった
おい、何したんだよ逆巻家。
理不尽な疑いを逆巻家にかけながら、私は調査を続ける。
遂に10人目。
「あぁ、彼奴なら図書室へ行ったのを見たぞ。」
『本当ですか?ありがとうございます!』
答えてくれたのは3年生の男の先輩だ。
なんと彼と同じクラスなのだそう。
もう一人の居場所も合わせてきいてみたが、それは知らないと言われた。
だが、一人分かっただけでも、大きな収穫。
私は足早に図書室へ向かった。
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手に持っている本は太宰治の「人間失格」。
この本は前の世界で好きだった本。
本棚を眺めていたら上の段の端のほうに有るのを見つけた。
此方の世界にもあるのかと驚いたが、喜びの方が大きかった。
他にも芥川の「羅生門」。
ドストエフスキーの「罪と罰」。
この二つを抱え、お目当ての人物をキョロキョロと探す。
校舎が大きいだけあって、図書室も大きい。
今持っている本の他にも興味深いものが幾つかあったので、またプライベートでこようと思う。
この広い図書室の中心には沢山の机がづらりと並べられていた。
其の端に一人静かに座る青年。
私はその青年の座る長机に駆け寄り、話し掛ける機会を待つ。
彼は私に気付いていないのか、はたまた気付かないふりをしているのか、熱心に本を読み、そこから目を離さなかった。
私はそんな彼の斜め後ろに立ち、声を掛ける。
『お隣、座ってもいいですか?』
すると彼は私の方へ目を向けることなく どうぞと呟いた。
一瞬、眼鏡の奥の瞳がギラリと光ったような気がした。
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カーミラ~吸血姫~ - 私も夢主ヒロインと同じカールハインツをさん呼び+敬語を使いますね(^-^; (2020年9月22日 19時) (レス) id: 85a8913771 (このIDを非表示/違反報告)
*蓮華*(プロフ) - ☆あおいみどり☆さん» ありがとうございます。もうすぐスランプ抜け出せそうなのでがんばります! (2017年6月30日 20時) (レス) id: 326c3bcf60 (このIDを非表示/違反報告)
☆あおいみどり☆(プロフ) - 更新頑張ってください! 応援します! (2017年6月30日 18時) (レス) id: 9938b99d4c (このIDを非表示/違反報告)
*蓮華*(プロフ) - 月影時雨さん» ありがとうございます。御迷惑をおかけしますっ (2017年6月30日 6時) (レス) id: 326c3bcf60 (このIDを非表示/違反報告)
月影時雨(プロフ) - *蓮華*さん» スランプ、誰にだってありますよね。私もよくあるので…。更新頑張って下さい! (2017年6月29日 20時) (レス) id: 4756913039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぇか | 作成日時:2016年10月18日 17時