おいかわとおるすいっち！【及川徹】

24：とおるすいっち ページ24

とおるすいっち、と。


遠くに行っても忘れないよ。

なんて言って、忘れてしまう前に死んでしまってさ。

でも嘘じゃない、俺は忘れないよ。




とおるすいっち、お。


お前みたいになるよ。

俺ね、ずっと決めてたことがあった。

死ぬときは、大好きな奴の名前を呼んで、笑って死んでやるんだって。

お前なら、そうすると思ったから。





とおるすいっち、る。


るんるん、楽しいね!

きっとお前は向こうで元気にやっているんだろう。

きっとお前は前よりずっと素敵になって帰ってきたんだろう。

できれば、その姿を見たかったなぁ。





さ、次はおいかわすいっち。

あの時は格好よく言えなかったから、リベンジ。






その文字はひどく震えていて、暖かくて、悲しかった。

文字を見ただけで、彼がどんな顔して、どんな気持ちで書いたのが分かった。

いたいくらいに、わかってしまった。





私は涙を抑えきれそうになくて、でも泣いてるところはばれたくなくて。

必死に声を殺して、涙がこぼれないようにまばたきもしないで。



唇が震えた、たぶん何も言うことができない。





私には、言葉にできない気持ちがあふれた。


きっとこれは、徹にしか伝わらない。



　

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