おいかわとおるすいっち！【及川徹】

18：わ ページ18

俺は今日の出来事と、今までの出来事とを通していろんなことを知った。





どうにもできない悔しさや、なんにもできない無力さ。

涙をこらえる時の喉の痛さと、無理に笑う苦しさ。



それから、好きな人を想う苦しさ。




好きな人を想うっててっきり、幸せでふわふわしてるものだって思ってたけど。





あーぁ、ねぇまっつん、まっきー、岩ちゃん。

3人ともさ、こんな気持ちだったのかな。







「ねぇ、はな？そんなに泣かないでよ」


「だって、徹が、、、ッ」




私やっぱり行きたくない、一緒に居る。

徹と一緒に居るよ。



そう一層強く俺の服を握って言うはなに、俺は眉を下げて笑った。

笑うしか、なかった。







「最後のすいっち、押して?」


「やだ、だってそしたら徹、さよならするでしょ」





いってこいって、背中押すんでしょ。

そしたら私返ってこれなくなっちゃう。行くしかなくなっちゃう。



すべてを理解したように、涙でいっぱいでくしゃくしゃのひどい顔をした彼女が、ひどく声を震わせていった。






「はながいってくれないなら、俺が言う」





俺が言って、それで終わりだ。

彼女はいやだって首を振ったけれど、これ以上ここに居てもらっちゃいけない。

はながここに残るということは、目の前で俺の死を迎えるということ。


はなは優しい人だから、きっと痛みを共有して、涙を流すんだろう。

いたいくらい優しくて、あたたかくて、悲しい涙を流すのだろう。





そんなこと、させない。







「おいかわすいっち、わ」





「っ徹、」









　




おいかわすいっち、わ。









別れよう、A。





　

　

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