10:松川も ページ10
それは、母さんも父さんもでかけてて、
部活は午後だから。なんてくつろいでいた。
家に一人だった静かな休日に、一本の電話が鳴った。
『あぁ、貴大君かい?僕はAの父なんだけれどもね、、、』
___息が、できなくなった。
背筋も凍ったみたいに冷たくて、電話を握る指先は震えていた。
ふいに、「貴大君」と笑う彼女が頭をよぎって。
『だから申し訳ない。Aはきっと心配させたくないからだまっておけと
言うと思ったんだが____』
「っ、いまから、今から行きますんで、」
『ちょ、貴大く、』
プツリ。
半ば強引に切った電話。
たかちゃんの父さんの言葉も十分に聞かずに、
寝て起きた、そんな部屋着の服装で
あせったせいでいつも学校に履いてってるローファーはいちゃって。
いつもはひざに負担になるといけないからって、
ゆっくり歩く下り坂も全速力で走りぬけて。
途中、人にぶつかりそうになったり、
及川に声かけられたり、
知り合いのおじさんにあったりしたけれど
そんなの気にしていられるほど俺は余裕なくって。
あーそういえば、まだ顔洗ってなかった。
朝飯もくってねぇや。
もちろん歯磨きだってまだだし。
髪もぼさぼさだろうなぁ。
好きな子のまえではいつだってかっこよくありたいのに。
それどころじゃない状況ってホントにあるのか。
松川もこんな気持ちだったのかなぁって思ったら、
ちょっと泣きそうになった。
『あぁ、貴大君かい?僕はAの父なんだけれどもね、、、』
____Aが、工事中の現場で大工さんが手を滑らせて。
Aに直撃して、今Aは眠って目を覚ましていない状況なんだ。
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ネネ(プロフ) - ばんさん» なんとなくで読んでみて、泣いちゃう作品だったっていうのはこっちまで感動してきます笑ぜひぜひよんでみてください!ありがとうございました! (2018年4月2日 16時) (レス) id: ed5f83e837 (このIDを非表示/違反報告)
ばん - 心の底から涙が止まりませんでした。偶然見つけて何となく読んだのですが、こんなに素敵な作品に出会えて本当に良かったです。今後の作品も楽しみにしています。 (2018年4月1日 19時) (レス) id: 5dfb89ff22 (このIDを非表示/違反報告)
ネネ(プロフ) - 鈴さん» 本当ですか!うれしいですありがとうございますー!そういっていただけるとなんだか頑張れる気がします笑ありがとうございました!! (2017年3月4日 14時) (レス) id: 6945d4cfda (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - 前回のもだし今回のも涙で顔が崩壊しました…でもそれに負けず面白かったと思います!いい作品をありがとうございました!!応援してます! (2017年3月2日 6時) (レス) id: 354aca8f63 (このIDを非表示/違反報告)
ネネ(プロフ) - 黒猫さん» ファンなんて、、、!ありがとうございます、、!いろんなところにコメントに来てくださってありがとうございますね! (2017年1月13日 14時) (レス) id: 6945d4cfda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネネ | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月13日 19時