はなまきたかひろすいっち！【花巻貴大】

03：まつかわすいっち ページ3

彼女が涙ぐんでいくうち、俺らもつられて涙ぐんでいた。



大切な人との別れなんて、俺らは経験したことないし、

ただ学校が離れるとか卒業とか、そんなんじゃなくて。


もしかしたら自分を忘れられるかもしれない、そんなこともありえるのだ。




それを痛感した時、涙は止まり方を忘れていた。





「まつかわの、ま」



まってるよ、いつまでも。

待たせるのは得意じゃないけど、待つことだけは得意だからさ。





あの、俺らがふざけて遊んでいた、なんでもないことが。

こんなに彼女にとって、俺らにとって、大切なものになるなんて。



あの時は思いもしなかった。






「まつかわの、つ」




作り笑いするよ、

どんなにつらくても、君の前では情けない顔見せらんないからね。





軽いようで、実はとっても深い意味が込められていて。



言葉は、なんてすごいんだろうと柄にもなくそう思った。






「まつかわの、か」




可愛い彼女を守るよ、

油断したら誰かに連れてかれちゃうからね、

ちゃ―んと見とかなきゃ、







「まつ、かわの、、っ」




泣くな泣くな、

それじゃ意味ないだろ！







「、、っ、まつかわ、の、、っわ、」







笑うよ、

君と居ると笑顔になれるんだ。

君と笑って幸せになりたい。






はい、これで合わせて、「まつかわいっせいすいっち」だ。






いいだろ？まつかわいっせいすいっち。

すてきだろ。

お前のために作ったようなもんだぞ。





「うん、、っすっごくすき、だいすき、すてきだよ、

でも、何で行かなきゃいけないの、」







「わたし、いっせーといっしょにいたいよ、」





「いっせーじゃないと、嫌だよ、、っ」





　

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