08 ページ8
“…侑と治の扱いうまいなって思ってん”
その一言を聞いてから、なんでか息がうまくできない。
侑くんと治くんと仲が良ければ、誰でもよかったのかなあ。
思わず俯いて、違和感を覚えたままの喉を少しだけ叩いた。
「そんで、今日は初日やから練習見ておけばええから_____…聞いとる?」
「ご、ごめんなさい!」
「ぼーっとしとること多いで、危ないからちゃんとしぃ」
叱られて、しまった。
せっかくマネージャーに誘ってくれたのに
これじゃあすぐにまた新しい子を連れてきてしまう…!
「今日は練習見るだけでええよ」
「そんな!働きます!」
張り切る私を彼は数秒見つめて、じゃあ少しだけ働こか。と腕まくりをした。
「いろいろ教えるから、動ける格好に着替えてき」
ちゃんとやらんとあかんからな。
私より張り切ったように見える彼が、少しだけ可愛く見えて、私は少し笑ってしまった。
のも束の間。
「き、北さん、体操着まだ私もらってないんです…!」
転校してから数週間。
制服が届いたのも最近で、今までは制服も体操服も前の学校のものを使っていた。
「今週末に届くっていわれて…前の体操服は持って帰ってしまったんです」
役立たずでごめんなさい…
情けなくて、少しだけ滲んだ涙を彼は見逃さなかった。
「謝らんでええよ、なんも悪いことしてないやろ」
こっち来ぃ。
そう言って体育館のドアを開け、歩き出した北さんの歩くスピードは、廊下を2人で歩いてた時みたいにゆっくりだった。
85人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めめこむまーりん(プロフ) - 続編楽しみに待っています (2020年4月15日 17時) (レス) id: 43047aa610 (このIDを非表示/違反報告)
Ruu(プロフ) - 北さーーーん(涙) この先どうなっちゃうのかめちゃくちゃ気になります(涙) 続編お待ちしてます! (2020年4月13日 19時) (レス) id: b4a2fe1890 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ネネ | 作成日時:2020年4月10日 5時