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「______なにしてんねん!」
「______ッ!」
瞬間、手首を掴まれていた力がなくなり、
逆の手に力が加わって、私はその手に引っ張られて走り出していた。
一瞬のことで、誰だかすぐにはわからなかった。
でもこの銀色の髪の毛、骨張った腕、大きな手。
北さんだ。
「なにしてんねん!」
「…ッ、は、花火みにきたんです」
「ひとりでか」
「……」
黙ったまま頷くと、北さんは頭を抱えてため息をついた。
「なんで合宿来れなかったか覚えてないんか」
「……私1人じゃ、危ないから、です、」
「そうや、覚えてるのになんで来た」
北さん、呆れてる。
余計な心配かけて、がっかりしただろうな。
喉が熱くて、目尻が熱くて。
泣くものか、ここで泣くのはおかしい。
必死に目を開いて、力を入れて涙が出ないようにした。
それでも視界はゆらゆらと滲んで、私は彼の顔を見ることができなかった。
「帰りぃ」
駅まで送る。
そういってひとりで歩き出す彼に私は一歩も動かなかった。
「か、帰りません」
震える声で伝えると、彼はさっとこちらに寄ってきて
なんでなん。と、いつもよりずっと低い声で私に言った。
食いしばっていた唇を開き、息を吸って言葉を吐いた。
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めめこむまーりん(プロフ) - 続編楽しみに待っています (2020年4月15日 17時) (レス) id: 43047aa610 (このIDを非表示/違反報告)
Ruu(プロフ) - 北さーーーん(涙) この先どうなっちゃうのかめちゃくちゃ気になります(涙) 続編お待ちしてます! (2020年4月13日 19時) (レス) id: b4a2fe1890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネネ | 作成日時:2020年4月10日 5時