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気持ちを理解しても、私は行動には移せなかった。
見つめているだけで十分な気もしてしまったし、
第一あの北さんに告白どころかアピールなんて。
真剣にバレーをやっている部活中はもちろん
食堂でお昼を食べているときだって
部活終わりの帰りの時間だって。
私にはとてもできなかった。
「北さんは彼女つくらへんのですか?」
ある帰り道、バレー部のみんなで好きなタイプだとか、彼女の話なんかをしているときに侑くんが言った。
その言葉に私は、よくやった!と思いつつ
なにをいうのか怖くてドキドキしていた。
彼はしばらく考えるような仕草をして、
数秒後に口を開いた。
「せやなあ、…俺はバレーで十分や」
そら彼女おったらもしかしたら楽しいのかもしれないなあ。
でもまだ俺には早い気ぃするわ。
いつかできたらええけどね。
そう言う彼の顔はひどく優しい顔をしていて
まるで誰かを思い浮かべているようだった。
てっきり、「いらん」の一言で終わると思っていた私たちは
ぽかんと口を開け目を見合わせた。
「北さん、好きな子おるんかな」
小さな声で治が言った。
私はその声に反応することができなくて、
心臓のドキドキは私の体に静かに響いて
また、喉が詰まるような感覚に襲われた。
北さんに、好きな人がいるかもしれない。
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めめこむまーりん(プロフ) - 続編楽しみに待っています (2020年4月15日 17時) (レス) id: 43047aa610 (このIDを非表示/違反報告)
Ruu(プロフ) - 北さーーーん(涙) この先どうなっちゃうのかめちゃくちゃ気になります(涙) 続編お待ちしてます! (2020年4月13日 19時) (レス) id: b4a2fe1890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネネ | 作成日時:2020年4月10日 5時