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「腕通さんと動きにくいやろ」
「でも北さんこれ…」
袖長すぎて、手ぇ使えなくなっちゃいます
袖を通し、余った部分をひらひらとふってみせると
せやなあ、腕まくりせんとな。と
やろうとすれば自分でできるのに、1折1折丁寧にまいていった。
「動きやすくなりました!」
「…ふっ」
彼の笑った声がして、あわてて顔を上げる。
右手をゆるく握って唇のあたりにあてて、
目は細くにっこりと笑っていた。
今度ははっきりにっこりと、確かに笑っていた。
「ほんま小さくてかわいいなあ」
“ …小さくて…”
“…小さくて、大変やなあ”
廊下で、何度も小さいと言っていた彼を思い出した。
ねぇ北さん、ずっとそう言おうとしてたの?
「…ッあ、えっと…っ」
「ん、そろそろ行かんとあかんな」
「あ、北さん…!」
ぐいっと、北さんの服を掴み、
きゅっと唇に力を入れ言葉を絞り出そうとする。
…あれ?私何を______?
「ごめんなさいあの、シューズもないんです!」
「あぁ、上履きでええよ」
「そうですか!」
なにからなにまでありがとうございます!
私頑張ります!
ぎゅっと拳を握り、きばりやという声に大きくうなずいた。
結局、私がなにをしようとして北さんを呼び止めたのか。
まさか、ね。
と自分に言い聞かせて、私は知らないフリをした。
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めめこむまーりん(プロフ) - 続編楽しみに待っています (2020年4月15日 17時) (レス) id: 43047aa610 (このIDを非表示/違反報告)
Ruu(プロフ) - 北さーーーん(涙) この先どうなっちゃうのかめちゃくちゃ気になります(涙) 続編お待ちしてます! (2020年4月13日 19時) (レス) id: b4a2fe1890 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネネ | 作成日時:2020年4月10日 5時