70 ページ31
「ママ！」
声をかけられ目を移すと、さっきまで原っぱで遊んでた友くんが目の前に立っていた。
「まぁたパパとなかよししてる…！」
思わず顔が火照った。
やすくんの方をちらっと見ると、やすくんは片手で自分の顔を覆って『いつからそこに居たんだ』とでも言いたそう。
やっぱり耳が赤くなっている。…可愛い。
「と、友くん、遊ぶのおしまい？」
小さい息子だから『仲良しだよ』ってサラッと言って流したら良かったけど、私もまだまだだ。
照れの感情のほうが勝っちゃって話題を逸らしちゃった。
「うん、ママにプレゼントしたいのみつけたから…」
「へ？プレゼント？」
そう言って友くんが差し出したのは…
「…シロツメクサ…」
「このしろいおはな、ママににあうなぁっておもったから」
一輪のシロツメクサを少し照れながら差し出す息子に、愛しさが込み上げた。
「ありがとう、友くん。ママうれしいっ」
そう言って抱きしめると、友くんは嬉しそうにえへへと笑った。
「あのね、ママ」
「なぁに？」
「おっきくなったら、ぼくのおよめさんになって？」
思いがけない息子の言葉に思わずきょとんとしちゃった私。
か、かわいい…っ
「なっ！！！！ナァニ言ってんだボケナス！」
小さな子の可愛い発言…と思ってたら、やすくんが大人げなく突っかかってきた。
「こらパパ。『ボケナス』なんて言っちゃだめでしょ？」
「言っちゃダメな事言ったのは友幸のほうだろっ」
「えー？ぼくだめなこといってないよ？」
やすくんはしゃがみ込むと、友くんと視線を合わせて、頭をガシガシ撫でながら言った。
「あのな、ママはパパのお嫁さんだからダメなのォ。」
「えーーーっ」
「えーーって言ってもダメ。」
…くすっ、小さな息子相手になんて話してるの。
思わず笑っちゃった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蓮菜 | 作成日時：2021年4月10日 0時
