少年たち

理由 ページ4

俺には父さんが居らんかった。

いや、居らんと"思ってた"の方が正しいかな。


生きてるはずやのに何で居らんのか。
それが不思議で不思議でたまらんかった。


でも、13の誕生日に母さんから真実を告げられた。


「父さんは、刑務所に居るんよ。人の命を…ｯ危険にさらしてしまったの…」


思わず抱き締めた。俺が母さんを守らなあかんって思った。
13やから刑務所についてのそれなりの知識はあった。刑務所は一定の期間が過ぎれば出れる事、また同じ様に人生を送れる事…


でも、父さんは帰って来んかった。


毎年の誕生日にまだ帰って来ないのか、まだなのかと聞くけど母さんは決まって言うんだ。


「来年には帰ってくるよ。」


当然帰って来ることなんか無かった。
でも、嘘をつき続ける母さんを憎めなかったんや。来年には帰ってくる、そう言う時すごい寂しそうに、力無く笑うから。


そして、事件は俺の18の誕生日に起こった。

その日も毎年と同じ様にまだ帰って来ないのか聞いた。毎年と同じ様にまたいつもの言葉が返ってくると思った。


でもその日は違った。


「父さん…しんじゃったの…」


俺は何も考えられ無かった。

俺に父さんは刑務所に居ると伝えた時にはもうこの世には居なかった事、母さんはずっと俺に言えなかった事、なぜ言えなかったか…全てを泣きながら、所々詰まりながらやけど話してくれた。

刑務所に居る時になくなったんやって。

刑務所でなくなることなんかそうは無いはず。


その謎がずっと解けないままだった。

その謎を知りたくてたまらなかった。

俺は狂ってたんやと思う。


刑務所に入る為にわざと罪を犯した。

最愛の母を…この手で…

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