少年たち

前を向け(2012年) ページ23

ジュンside


すっかりここでの生活にも慣れてきた頃。

ジュン「隼人…？」


面会に隼人が来た。


一歩前に進めなかった俺に向かって来てくれたのに俺はまた一歩引き下がってしまった。


だけど、めげずにまた隼人から向かって来てくれたお陰で俺も一歩進めた気がした。


俺は少しずつ前を向き始めていた時にジョーが後ろを向いてしまっていた。


ジュン「ジョー…？？どうかした？」


運動時間。いつもならみんなとボールで遊んだりしてるのに今日は1人ベンチで俯いてる。


ジョー「お前になら話してもいいのかもなぁ…」

ジュン「え？」

ジョー「お前はさ、母ちゃんが死 ぬってなったらどう思う。」




そんな事聞かれてもなぁ……



ジュン「んー俺はお母さんって存在を知らないからさ笑 俺が赤ん坊の時に俺を置いてどっか行っちゃったんだ。だから今更って感じ。」

ジョー「そう…か。」


まさか……



ジュン「うん。……もしかして…」

ジョー「っ……そう、だよ。俺の母さん、もう死 ぬんだってよ…」


そう言って少し力無く笑うジョー。


ジュン「…俺はさ、失う母さんも居ないからさ…失う物があるのって得た物があったって事でしょ？失う物が無いよりマシだよ笑」



なんて綺麗事を並べてしまった。
でも、母親も父親も居ない俺からすると母親が居るだけでも羨ましかったのは事実。



ジョー「そうだよな…なんか、ありがとうな。」

ジュン「これくらいの事ならいつでもするよ。」


ジョーも前を向けた？

向けてたら、嬉しいな。

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