心変わり ページ50
『コネシマ様』
何だと言いたげな顔に、不安定なオーラ。
『事情は分かりません。分かりませんが、今会えるなら会っておくべきだと思います』
kn「………………」
『私は死んで、ここへ転生しました。もう…前世の誰にも会えません』
kn「………………」
コネシマ様は何も答えない。
隠せないオーラは、ウネウネとコネシマ様の迷いを表している。
『それでも良いんですか?』
kn「…知った口聞くなや」
『知らないですよ。何も知りません。だから責任も取れません。でも会えなくなってから後悔する気持ちは分かります』
kn「………………」
家族仲は普通だったけど、一人暮らしをしてから忙しいを理由に顔を合わせる事も、話す事も少なくなっていた。
こんな突然のサヨナラを迎えて、残された両親は今どんな気持ちでいるんだろう。
そう考えるとジワリと視界が滲みそうになる。
もう会えない。一生。
独りぼっち。
悲しい。寂しい。つらい。
kn「…そんなん分かっとるわ」
コネシマ様の声に、落ちそうな気持ちが留まる。
私の腕を離しポツリと呟くコネシマ様は、そのまま私に背中を向けて部屋から出ていこうとする。
そのオーラからは混沌さが抜けていく。
『…コネシマ様？』
kn「お前、申請の書き方分かるか？」
『え？』
kn「俺の長期休暇と出国手続きの申請書類、書いといてくれるか？」
『……はいっ！！』
水色のオーラをまとうコネシマ様が、振り返って満足そうに笑う。
休暇を取って、出国して、どこに行くのか。
そんな野暮なことは聞かない。
ただただコネシマ様の道中の無事を願う。
『あ、コネシマ様！』
思い出したように、ポケットを探る。
ポケットの中には粉々に割れた黒水晶、だった物。
グルッペン総統閣下の浄化の時とは違い、欠片を拾い集めるのが大変な位に粉々だ。
kn「それ、何でそんななっとん？」
『恐らく魔獣に襲われたせいかと』
思い当たる理由はこれしかない。
敵意を向けて受けた攻撃のせいだろう。
道中のお守りとしてお渡しできたらと思ったのに。
名残惜しくポケット内をよくよく見れば、本来の丸い形を維持した黒水晶が1粒見つかる。
『お守りです。持っていて下さい』
kn「これ、……ええんか？」
『はい。気をつけて下さいね』
戸惑うコネシマ様へ黒水晶を握らせる。
お守りになるかは知らないが無いよりは良い。
kn「悪いな」
今までとは明らかに違う態度のコネシマ様を、今度こそ見送った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1401人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆかり(プロフ) - わぁーー、めっちゃ嬉しい！ありがとーございます！書きたい話はまだまだあるので、頑張りますね。 (2021年11月3日 20時) (
レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - とても面白いです！どストライクにハマる世界観、書き方、夢主の性格...など！めちゃくちゃ好きです。次の更新楽しみにしています。無理せず頑張ってください！ (2021年11月2日 23時) (レス) @page31 id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 御三方、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！頑張る励みになりますね。そして銀狐様、ご指摘ありがとうございました。コソッと直してみました！ (2021年10月25日 12時) (レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
銀狐(プロフ) - この作品好きです！これからも御体に気を付けながら頑張ってください！あと大食漢ではないでしょうか？ (2021年10月25日 10時) (レス) @page18 id: b88b2ea9fb (このIDを非表示/違反報告)
シー - え、めちゃくちゃ好きです！！応援してます！！ (2021年10月21日 3時) (レス) id: 7d376a875d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆかり | 作成日時：2021年10月15日 6時
