涙腺崩壊 ページ30
なだれ込むように部屋へ入り、そのまま入口で縋るように私を抱きしめるゾム様。
やはり様子がおかしい。
それも、先程一瞬見えた姿には、寝込んでいたグルッペン様と同じレベルの黒いモヤが付いていた。
早く浄化しないと、ゾム様まで意識を失うかもしれない。
『ゾム様……ゾム様？』
名前を呼べば、背中に回された両腕が、余計な隙間など許さないかのように私を強く掻き抱く。
顔に当たる胸板はガッシリしていて、抵抗しようにもびくともしない。
どうしたら良いか分からず、されるがままの私。
力強いのに苦しくはない。
こんな状態でも恐怖心は抱かなかった。
それどころか…
あぁ…
人の体温っていいなぁ。
久しぶりに感じる人の温もり。
こんな風に誰かに強く抱きしめられたのはいつぶりだろうか。
前世で元彼と抱き合う事はあったけど、こんなに求められてはない。
毎日仕事で忙しくて会えない日が多くなってたし。
アイツ…浮気してたし…
前世を思い出して、抑え込んでいた悲しみや不安や情けなさやら気持ちが込み上げる。
考えないようにしてたのに。
負の感情がごちゃまぜになって、何だかリミッターが外れそう。
zm「わ、悪い！」
心地良い温もりが急に消える。
瞳を揺らしたゾム様が視界に映った。
zm「…お、俺が泣かせたんか？」
『私別に泣いてなんか…』
温かい雫が頬を流れる。
言われて気付くなんて、マンガの世界じゃあるまいし。
でも実際に涙は流れていて、止めたくても止まらずポタポタと落ち続ける。
zm「Aも無理しとったんやな」
そんな優しいゾム様の言葉に、今まで抑えつけていたフタはポーンと飛んだ。
ここへ来る前の事、来てからの事、今からの事
怖くて不安しかなかった事
誰にも言えなかった事
滅茶苦茶だと分かりながらも、自分では止められず口は動き続けた。
何を言ったかも覚えていない位に溜め込んでいた物を発散してみれば、その後は意外とスッキリしていた。
『…すみません、自分の事ばっかり…』
zm「いや、ええねん。何て言うか、ほ、ほら…Aの弱いトコ知れたしな」
『でも、…ゾム様そう言えば黒いモヤ…がさっきより少なくなりました？』
ビッシリくっついていた気がするゾム様の黒いモヤは、肩の辺りに薄っすらとあるだけ。
zm「俺な、Aとおると気持ちが楽になるんよ」
『私といると、ですか？』
zm「おん。初めて会った時も、あの後身体軽くてなー」
ゾム様が嬉しそうに笑う。
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ゆかり(プロフ) - わぁーー、めっちゃ嬉しい！ありがとーございます！書きたい話はまだまだあるので、頑張りますね。 (2021年11月3日 20時) (
レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - とても面白いです！どストライクにハマる世界観、書き方、夢主の性格...など！めちゃくちゃ好きです。次の更新楽しみにしています。無理せず頑張ってください！ (2021年11月2日 23時) (レス) @page31 id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 御三方、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！頑張る励みになりますね。そして銀狐様、ご指摘ありがとうございました。コソッと直してみました！ (2021年10月25日 12時) (レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
銀狐(プロフ) - この作品好きです！これからも御体に気を付けながら頑張ってください！あと大食漢ではないでしょうか？ (2021年10月25日 10時) (レス) @page18 id: b88b2ea9fb (このIDを非表示/違反報告)
シー - え、めちゃくちゃ好きです！！応援してます！！ (2021年10月21日 3時) (レス) id: 7d376a875d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆかり | 作成日時：2021年10月15日 6時
