黒水晶の価値 ページ26
『エーミール様にお聞きしたい事があるんです』
em「何でしょう？」
優しく微笑んでくれるエーミール様へ、ポケットの中身を取り出し見せる。
em「これは…黒水晶ですか？」
『らしいです』
em「なぜこんな形に？」
エーミール様は怪訝そうに、真っ二つになった黒水晶を手に取る。
正直に、グルッペン様の浄化をする時に割れた事を説明すれば、思い当たる事があるのか小さく、なる程と呟いた。
em「黒水晶は聖域の空間を作り、身を守ると言われます。浄化中に割れたと言う事は、Aさんの身代わりになってくれたんではないでしょうか」
身代わり、か。
腑に落ちるその言葉に、黒水晶が愛おしく感じる。
em「ちなみにこれをどこで？」
『私の涙が黒水晶に変わりました』
em「…はい？」
エーミール様が冗談は止めて下さい、と笑うが本当の事だと再度伝える。
em「過去には涙を金に変える人もいたと文献には残っていますが…」
そう言って奥の本棚から迷いなく1冊の本を取り出し、迷いなくとあるページを開く。
そこには鎖に繋がれて涙を流す女の人の写真。
身体には傷を付けられた生々しい跡があり、落ちた涙は金色になっていた。
一歩違えば、未来の私かもしれない。
em「黒水晶は金とは比べ物にならない価値があります。この事は、あまり他言しない方が良いかも知れません」
真剣な目をしたエーミール様が解析をしたい、と言われた為、割れた半個の黒水晶を渡す。
あの写真を見た後だが、エーミール様へ渡すのに抵抗は無かった。
その後は話題も変わり講義を受ければ、あっという間に昼食の時間となる。
エーミール様には後ろに付いてきてもらい、自力で食堂へ辿り着くが、そこは朝とはまるで別の場所だった。
こんなに居たのかと思うような人の群れが、ガツガツと皆して食事をしている。
どこに座ろうか悩む程空いていた席は今や満席で、空席を探すのが難しい位。
そんな中、端のテーブルだけはガラ空きだった。
出直そうかな。
こんな男性の群れに割って入るのは…
と、ここである違和感に気付く。
食堂に集まっているのは男性ばかり。
よく探せば、ちらほらと女性の姿はあるが明らかに少ない。
em「Aさん？」
不思議そうに私へ声をかけるエーミール様。
入口に突っ立ったままでいる訳にも行かず。
エーミール様に促されて、誰も座っていない端のテーブルに座る。
このテーブルは幹部様用らしく、私が座って恨まれないか心底不安だ。
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ゆかり(プロフ) - わぁーー、めっちゃ嬉しい！ありがとーございます！書きたい話はまだまだあるので、頑張りますね。 (2021年11月3日 20時) (
レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - とても面白いです！どストライクにハマる世界観、書き方、夢主の性格...など！めちゃくちゃ好きです。次の更新楽しみにしています。無理せず頑張ってください！ (2021年11月2日 23時) (レス) @page31 id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - 御三方、コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです！頑張る励みになりますね。そして銀狐様、ご指摘ありがとうございました。コソッと直してみました！ (2021年10月25日 12時) (レス) id: 22f5afe48d (このIDを非表示/違反報告)
銀狐(プロフ) - この作品好きです！これからも御体に気を付けながら頑張ってください！あと大食漢ではないでしょうか？ (2021年10月25日 10時) (レス) @page18 id: b88b2ea9fb (このIDを非表示/違反報告)
シー - え、めちゃくちゃ好きです！！応援してます！！ (2021年10月21日 3時) (レス) id: 7d376a875d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆかり | 作成日時：2021年10月15日 6時
