【文スト】いつか観た夕焼け【太宰治】

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「あ、中原幹部…

お仕事お疲れ様です」

「手前もな」



太宰さんさんと別れ、部屋に戻る時に中原幹部に出会った。

中原幹部は私の頭をくしゃくしゃと撫ぜた。



「子供扱いしないでくださいよ……」



そう云いながらも、撫ぜてくれる手を止めて欲しくないと思う私は勝手なのだろうか。


元々私は太宰さんの直属の部下だった。

だから、中原幹部とも割と仲が良かった。
其の頃、太宰さんに手を焼いている者同士。


何も云わずに私の頭を撫ぜる手は、とても暖かく感じた。



ふと俯いていた顔を上げると、何故かとても傷ついたような、悲しい顔をしていた。

＿＿どうして此の人はこんな顔をするのだろうか＿＿


私迄泣きそうになってしまう。

でも、先程十分泣いた。
それに、此処で泣いてしまっては困らせてしまう。

そう思い、ぐっと溢れて来そうな涙を堪える。



「悪ぃな、」

「……何で謝るんですか」

「何でだろうな、謝んなきゃいけねぇ気がした」

「……ごめんなさい」

「何で手前が謝んだよ」

「謝んなきゃ、いけない気がしたんですよ」



何で謝られたのか、謝ったのか、本当に自分でも判らない。

でも、此処で謝らないと狡い気がして仕方なかった。


……何でだろうね

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