おとぎ話。【ホラー？】 (ページ17)

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第16話:Little Mermaid ページ17

「遅いわね。あの子。」

3番目のお姉さんは呟く。

「どうせ、あの子の事よ？どっか寄り道しているんでしょう。」

4番目のお姉さんは答える。

「私、責任持って見てきてもいいかしら・・・？」

末っ子は呟く。

そこへ赤い食べかけのものが落ちてきた。

「何かしらこれ？」

末っ子は見たことがないらしい。

「これはね、『リンゴ』って言うものなのよ。けれど、食べるのはやめなさい。」

「どうして？」

「人間の食べ物よ？それに何があるか分からないわ。」

確かに、と思い人魚姫は手に取ろうとするのをやめる。

それにお姉さんたちは私には嘘を吐いたことがない。

良い話は勿論どんな悪い話だって話してくれた。

「でも、私一回は食べてみたいわ。」

「そうね。だけどこのリンゴはおかしいわ。」

「どうして？ここら辺。よく見て？色がだんだん変わっているわ。」

よく見ると確かに緑の海に微かだけれど紫っぽい色がじわじわと流れて行っている。

「けほっ、けほ・・・。」

その近くにいた2番目のお姉さんが咳き込みだした。

「大丈夫？」

心配して3番目のお姉さんは話しかける。

「駄目よ、この紫を吸い込んだり飲み込んだりするのは。変だわ。ここから離れた方が良いかもしれない。」

2番目のお姉さんが言う。

近くにいた魚たちも腹を上にして動かなくなってしまった。

「これは・・・。」

1番目のお姉さんは何かを察する。

「すぐに離れましょう。ここにいるのは確かに危険だわ。」

「ど、どうしたの？」

末っ子は何も知らないのでお姉さんの言っている意味が分からない。

「いっその事、この海から出ましょう！」

「お姉さん！どうしてそんな事を言うの！？私たちは守らないといけないのに・・・！それにさっきは、」

「お願い。言う事を聞いて。このままじゃ海自体が終わってしまうわ。その前に」

お姉さんが言い終わる前に沢山の『リンゴ』が落ちてきた。

「これは・・・。」

「げほ、げほ。」

さっきとは比べ物にならないくらいの酷い咳だった。

2番目のお姉さんは特に肺が弱かった。

「ごめんなさい。みんな先に行って。」

「嫌よ！お姉さんを置いてなんて・・・！」

「・・・分かったわ。行くわよ。」

そういうと1番目のお姉さんは3人を引き連れて行ってしまった。

見えなくなってから2番目のお姉さんは小さく呟いた。

「私こそ御免なさい。さようなら。私の愛しい姉妹達。」

『御免なさい。さようなら。私の愛しい妹。』