海賊皇女は海をゆく (ページ50)

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鋭い瞳に捉えられたのは僅か一瞬で
そんな眼をしたクザンなんて知らない

「穢れた血が.......」

『な､にいってるの』

そう言って遠ざかる背中にすがり付くことさえ許されない､クザン＿＿＿やだよやだ
崩れ落ちた私の前に現れたのは"先生"

『せ、んせ.......』

「おどれはようやったわい｡
穢い血でその肉親さえも裏切り､
愛する弟の家族までをも
残酷なまでに殺し尽くしたんじゃ。」

『う、そ』

「ようやったわい。
おどれはもう用無しじゃ」

『､せんせ』

「貴様如きに"師"と謳われるよばれはない
殺すにも値せんわ｡
出来損ないの"海兵"でもなければ"海賊"にすら
なれんかったのう。

おまんは唯の『紛い物』じゃき」

『ちがうちがうちがうちがう.......』

ちがう､殺してなんかいない｡
エースも生きてるオヤジも生きてる
マルコもイゾウもビスタも海兵も皆生きてるよ

『ねぇ.......なんで私の手は【真っ赤】なの』

白く美しいマリンフォード
誇り高き海軍の要

そこは一面の血の海
海の青とは正反対の赤

足元には

クザン､先生､エース､ルフィ､オヤジ､マルコ＿＿＿

誰も生きてなかった

真っ赤な正義を背負ったAは1人

＿＿＿赤に溺れた

『姉ちゃんが俺達を殺したんだぜ』

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「A､Aｯｯ!!!しっかりしろ!!おい！」

倒れたAは突如起き上がり俺の顔を見た
いや正確には.....その眼には何も映っては居なかった

『エース､､エースｯｯ!!!エース!!!』

「A大丈夫だから!!!落ち着け」

片腕とは思えない力で俺を振り払うと自らの手を見て更に泣き始めた

『赤いよ赤い.......
なんでこんなに真っ赤なの』

＿＿＿【綺麗な手だな｡愛しいものの血は】

『エース!!!やだやだ､やだ!!!
ねぇ、どこにいるの。、みんなはどこ

エースがいないの!!
クザンもオヤジもルフィも先生もいないの
なんで、ねぇ、ひとりにしないで

＿＿＿【お前が殺したんだろ】

あぁ､みんな

＿＿＿私が『殺した』』

「ここにいる！
エースもルフィもサカズキもいる
お前は誰も殺してねぇ!!!

お前の手は"綺麗"だよ」

＿＿＿【穢れたお前は正義も自由も得られない】

焦点の合わない虚ろな目で泣き叫ぶ小さな小さな
Aの体を抱きしめた

頼む戻ってこい｡
優しいAは誰も傷付けてないから

＿＿＿【愚かだな､そいつはもう戻らん】

「誰だ..」

＿＿＿【神とでも言っておこうか】