赤に踊る【ONEPIECE】 (ページ2)

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朝目覚めるのは苦手だ
起きるぐらいならいっその事､自分の喉を掻っ攫う方が幾分マシに思える程度には

しかしそれも出来ないチェックアウトまで後少し
重たい体を無理やりに起こすと何年も続く不眠と疲れで酷い目眩に襲われる

足を着くフローリングは冷えきって冷たさを募らせ､今まで手にかけた死者たちが私の足を引きずり込むようだった。そんな馬鹿げた妄想に身体を震わせながらここ数日貸し切っていた宿を抜け出る

最近は専ら人を殺したりなんてしていない
それは自分を汚れた世界に置いているから
平和を見ると壊したくなる､完璧な物は壊したくなる
どこまでも優しい人間なんて嫌いだ
人間臭くて欲をさらけ出す奴の方がまだ好感が持てる

優しい人間も自分の死を前にすると泣いて懇願する
そこでやっと人間臭さを出すのだ
そんなに醜いのに何を取り繕って隠しているのか甚だ疑問に思う

それより嫌いな奴は死を前にしても怯えない奴

『君はまだ違う生き方が出来るハズだ』

『僕で最後にするんだ』

『貴方はもっと好きに生きていいのよ』

虫唾が走る､どいつもこいつも偽善に溢れ一体何を信じるのか
根拠もない､報酬もない、そんなお前達をどうやって信じるのか。馬鹿馬鹿しい

むしゃくしゃして路地裏の積んである荷物を無造作に蹴り飛ばすと懐のでんでん虫がうるさく泣き喚いた

『予定通り､報酬は三日後だ』

そうこれはビジネス
お互いの必要な物を等価交換することこそに人との関わりの意味がある､見いだせる

世界は醜い
汚らしく穢らわしい

だって砂の国の『英雄』様でさえその手は真っ黒に染まりきっているのだから

『もう終わった､報酬はいつもの場所に...気が向いたらまたご贔屓に。サー・クロコダイル』

ガチャりと眠るでんでん虫を懐に入れ直し路地を出た
海軍も海賊も腐りきったこの世界
そんな世界を知らぬ顔で生きるヤツらが気に入らない

不幸であることにすら気づかない奴らが気に食わない

『全員死んじまえ』

次の客は海軍上層部
どこへ行っても何をやっても悪事はどうせ終わらない
こんな世界滅んでしまえばいいのに