天の川に乗せた思い ページ29
S side
夏の夜とは思えないくらいに澄み切った空気
人の気配を感じない丘の上
空には星が一面に広がる天の川
そして隣には
廉がいる
星と月の光に照らされている綺麗な横顔を見つめる
廉)....ん？
紫)んーん｡なんでも
あんまりにも視線を送りすぎていたのか､こっちをちらっと見る廉
天の川を見つめる廉が1番綺麗だなんて言ったら､廉はまた照れたように笑うのかな
紫)ねぇ
廉)ん？
紫)今年はさ､織姫と彦星会うことが出来たかなぁ
廉)え？
紫)だってさ､1年に1度しか会えないんだよ｡しかも､雨だったらその1度さえもなくなっちゃう....そんなの悲しいじゃん
廉)そやなぁ〜
紫)でも､今年は晴れてるし多分会えたよね
廉)うん
紫)....俺さ､会いたいって思った時に廉に会えるの当たり前だと思ってたけど､この世の中にはそうじゃない人なんて山のようにいるんだよね｡
“会いたいな” “じゃあ会おう”
そんな会話が出来ることさえも叶わない人たちもいるんだ
紫)こんな状況になってさ､俺改めて廉の大切さに気づいた
廉).....
紫)毎日のように会いたいとか考えなくても会える状況がなくなってさ､あぁ会いたいな〜って毎日思うようになって｡今日だってさ､久しぶりにゆっくり出来たかもしれない時間だったのに会ってくれて
廉)そんなん...
紫)うん｡分かってるよ｡けどね､そう思っちゃう
家にいる時間､朝も昼も夜もいっつも廉の事を考えていた
廉は今何をしているのだろうか､体調は崩していないか､泣いていないか､寂しがっていないか
廉に対しての考え事は底が尽きなかった
紫)ねっ...短冊にお願いごとした？
廉)え？？あぁ...ん〜雑誌とかでは書いたけど...それ以外は書いてないかな
紫)俺も
廉)なんやねん笑
紫)...だからね､俺天の川にお願い事しようかなって
廉)願い事？星でも叶うん？
紫)うーん分かんない｡けど、思いは乗せれるかなって｡届けてくれるかなって思って
廉)....ふーん？
紫)ふふっ...俺のお願い事聞いてくれる？
廉)ええけど...
この日のために色んなことを考えてきた｡シュミレーションもしたし､しっかりと準備もした
それに､どんな結果が待ってようときっと大丈夫
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作者名：咲夢 | 作成日時：2022年10月10日 22時
