【ノラガミ】二つの名を持つ神器

23.お社 ページ27

『ん...、ここどこ...？』


「やっと起きたか！」






と、こちらへと駆け寄りながら大きな声で言ったのは、金髪で橙色の瞳の少年...






『雪音...君？』


「どうしたんだ？お前、あの金の妖を退治した瞬間倒れたからな...。どっか痛むとこ無いか？」


『頭がちょっと...。それ以外は大丈夫』






何か重要なことを忘れている気がする...



そう思い、体を起こして辺りを見渡す。


やはり、ここは小福様の家みたい。



不意に雪音君の側にあった、赤い屋根が特徴の小さな家のような置物に目がいった。


気になり、雪音君に尋ねた。






『雪音君、その小さな置物は？』


「あぁ、これは夜トのお社だ！ひよりが作ったんだぜ！」


『お社！？ひよりさんが夜ト様に...？』






雪音君の言葉を聞いたとたん、驚きと感動が一気に押し寄せ涙が零れた。



祝の器だけでなく、お社まで...


この数か月の間に、こんなにも夜ト様の生き方を変えられるものを得るなんて...！






「お、おい！大丈夫か！？」


『...大丈夫です。夜ト様はとても喜んでいたでしょうね』


「あぁ、そういえばアイツも柄になく泣いてたな」






雪音君の言葉を聞き、より一層胸を締め付けられたような気がした。

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