【ノラガミ】二つの名を持つ神器

20.お金 ページ24

大波乱のお花見も終わり、だいぶん落ち着いてきた今日のこの頃。



ひよりさんの買い物についていき、たった今小福さんの家に帰ってきた。


荷物を置き、２階へと続く階段に向かう。



横目に見えた雪音君の表情が少し暗かった気がしたけれど、生きていれば(もう死 んでるけど)悩むことなどいくらでもあるだろうと思い、とりあえず今は気にしないことにした。



階段を上がり、そこで目撃したのは─────






｢どうしたの、このお金！｣






ひよりさんがびっくりして大声を出した。



そう、床いっぱいに大量の札束が転がっていたのです。






｢い、いや、別に...｣


『ま、まさか、銀行強盗ですか！？』


｢違うわ！！｣






と、夜ト様が全力で否定する。


しかし、そうとしか考えられないお金の数...



私は、どうしたのですか？と夜ト様に尋ねた。






｢これで雪音を売れって言われたんだ...｣






夜ト様の話によると、なにやら恵比寿様が自らここに出向き交渉してきたのだとか。



祝の器なのだから他の神様が羨ましがるのも分かるのだけど、ここまでお金を出すとは...






『それで今、雪音君は迷っているということですか？』


｢あぁ、道標だからいろいろ迷うとこがあるんだろうな｣


『そうですね。私、少し雪音くんとお話してきます』






と、私は夜ト様に告げ、今上ってきた階段をスタスタと降りた。

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