【ノラガミ】二つの名を持つ神器

19.淡い ページ23

「やるか痴女ぉおおお！！！」


「望むところだ禍津神！！！」


『な、何をやっているのですか！？』






理由はよく分からないけれど、夜ト様と毘沙門様が互いの胸ぐらを掴んでいた。



少しの間、兆麻さんとひよりさんと一緒に飲み物の買い出し行って帰ってきたらこのありさま。



酔った勢いだとはいえ、こんな場で神器を使った戦いを始まることだけは阻止しないと！






『お二人とも落ち着いてくださいっ！』


「違っ...詢...麻は、おまえが殺 したんじゃない...」


「んぁあ〜...？」






あれ？これってもしかして争いが起こらなくてすむのかも。






「なぁ、紅音。紅音は毘沙門様のことってどう思ってる？」


『毘沙門様のことを...ですか？』






胸をなでおろしていた私に話しかけてきたのは雪音君。


その顔はどこか暗いような気がした。






「あぁ、俺より長いこと夜トの神器やってるんだったら、毘沙門様と夜トの神器として戦った経験もあるんだろ？あんな関係だったのに、帰ってきたら仲直りしそうって状況になってるからどうなのかなって」


『私は仲直りしてくれそうでよかった、と思ってますよ。別に私が毘沙門様の神器を斬ったわけでもないので。それに、今まで私が夜ト様の神器だということを毘沙門様は知らなかったようでしたし』






目を閉じ胸に手をあてると、噴水のように勢いよく脳内に飛び出てくるいくつもの記憶。



その中には、とある武神さんが私のほうを見て目を丸くさせている記憶も...






『本当に、気づいていないようでなによりです』

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