春に愛されて ② (ページ13)

今日:33 hit、昨日:20 hit、合計:18,060 hit

第60話ページ13

春千夜サイド

風呂場で大泣きしたAは、その後落ち着きを取り戻したが……。

『ハル……ごめんなさい……。』

何度もその言葉を呟きながらオレから離れようとしなかった。

オレは、そんなAの手をずっと握り

春「大丈夫だ。」

と言い聞かせながら傷の手当をしてやった。

Aをこんなにまで追い詰めたアイツらが許せねぇ！

あの時、半殺しにでもしとけば良かった！

なんて考えながらもAを優しく包み込む。

そうすればAは、緊張の糸が切れたように眠りについた。

そんなAをベッドに寝かせ、食事の用意をしようとしばらく離れ

コトコト

とAの好きなハヤシライスを作っていた。

すると

『いや！嫌だ！！やめて！！』

とAの悲痛な叫び声が聞こえてきた。

オレは、慌てて火を止めAの元へと向かう。

Aの元へと行けば、涙を流し自身を抱きしめ震えるAがいた。

春「A！？」

『ハル……！？ハル！！』

Aは、オレを見つけるとオレに抱きついてまた泣き続けた。

オレのせいだ……。

オレがあの時、Aを見失わなかったら！

それ以前に喧嘩なんてしなかったら！

そんな後悔がオレを襲う中オレは、

春「怖い夢見たんだな……。大丈夫だ。オレが居る。大丈夫だ。」

と震えながら泣くAにまた何度も声をかけ続けるのだった。