春に愛されて ② (ページ12)

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第59話ページ12

春千夜サイド

Aを風呂に行かせたのはいいがなかなか上がってこない……。

既に40分以上が経過している……。

オレは、居てもたってもいられず風呂場に足を向けた。

浴室のドアの前で

心配しすぎも良くないのか！？

いやいや……。

もし、倒れていたりしたらどうする！？

と少し悩み胃を決してノックをした。

コン、コン、コン

春「おい。いつまで入ってんだ？大丈夫か？」

ガチャ

声をかけながらドアを開ければ、そこにはカミソリを片手に首から血を流すAの姿があった。

春「！何してんだ！！」

バッ

オレは、慌ててAの手にあるカミソリを奪った。

すると、Aは

『返して！綺麗にしなきゃ！』

と必死にカミソリに手を伸ばす。

正気じゃない！

Aの目は、虚ろで追い込まれているのがよくわかった。

だが、こんなことさせるわけにいかない！

春「血が出てんだぞ！？死ぬ気か！？」

オレは、Aの両腕を掴み落ち着かせようとする。

しかし……。

『ダメなの！体洗っても消えないの！こんな汚いのハルに見せられないの！』

そんなこと気にしてたのか！？

オレは、その言葉に驚きながら

春「！」

ギュッ

Aを壊れないように優しく抱きしめ

春「お前は、汚くなんてない。そんなことして、傷が残ったらどうすんだ？お前は、誰よりも綺麗なんだ……。だから、もうやめろ……な？」

とAに言った。

すると、Aは糸が切れたようにその場で大泣きした。

オレは、そんなAが泣き止むのをそのまま待ち続けるのだった。