春に愛されて ② (ページ11)

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第58話ページ11

首筋には、無数の赤い花……。

先程も見えていたが手首には、赤く残る手の跡……。

微かに残るあの男たちに触られた感触……。

気持ち悪い！

私は、すぐにシャワーで体を流す。

そんなもので取れるはずもなく、すぐにボディタオルを泡立てて身体中を擦る。

消えない！

なんで！？

あの男たちの感触が何をやっても消えない！

身体中を何度も何度も擦る。

いや！

こんな汚い体、ハルに嫌われちゃう！

この時の私は、ハルに捨てられるのが怖かった。

これだけ擦ってもダメなら！

カチャ

私は、お手入れ用で置いていたカミソリを取り出し首元の赤い花に当てた。

消さなきゃ！！

スっ

ポタ、ポタ

痛みなんて感じなかった。

ただこれを消したくてたまらなかった。

コン、コン、コン

春「おい。いつまで入ってんだ？大丈夫か？」

ガチャ

なかなか出て来ない私を心配したハルが浴室のドアを開けた。

春「！何してんだ！！」

バッ

ハルは、私の手を掴みカミソリを奪った。

『返して！綺麗にしなきゃ！』

私は、カミソリを取り返そうと必死に手を伸ばす。

だが

春「血が出てんだぞ！？死ぬ気か！？」

と私の両腕を掴み暴れられないようにする。

『ダメなの！体洗っても消えないの！こんな汚いのハルに見せられないの！』

春「！」

ギュッ

ハルは、私を抱きしめ

春「お前は、汚くなんてない。そんなことして、傷が残ったらどうすんだ？お前は、誰よりも綺麗なんだ……。だから、もうやめろ……な？」

と私に言い聞かせるように優しい声で言った。

その言葉に私は、張り詰めていたものが切れ体が冷えるのもお構いなくその場で大泣きしたのだった。