第80話 ページ33
堅サイド
オレが後ろを振り向いた時には、既にAが泣いていて何が何だか分からなかった。
堅「どうした!?何かあったのか!?」
オレは、すぐに駆け寄りAの顔を伝う涙を服で拭ってやる。
Aは、泣きながら
『堅兄……急に後ろ向いたから……やっぱり……この跡……汚いんだって……そう思ったら……悲しくて……。』
と話してくれた。
オレが目を逸らしたからか……。
いや、でも……凝視するのもダメだろ!?
なんて思いながらオレは、とりあえずAを抱きしめ
堅「悪ぃ。オマエのそれを見て目を逸らしたんじゃねぇ。オマエ、どんどん女になっちまうからオレだって恥ずかしいんだ……。だから、泣くな。汚くなんてねぇよ。」
オレが本心を言えばAは、
『堅兄……エッ チ。』
と涙を拭い笑って言った。
堅「オレだって男なんだぞ。」
少し怒り気味に言えば
『堅兄……ちゃんと見て……。私……汚くない?』
と真面目な顔でオレを見てきた。
オレは、Aを離し少し距離をとって跡をまじまじと見た。
その跡は、写真で見たものよりもマシになっていたがとても痛々しかった。
だが、オレはそれを見ても汚いなんて思わなかった。
堅「汚くねぇよ。……汚ぇよりもここが龍の鱗みたいになっててかっけぇ。」
と笑って言ってやればAは、また泣き出して
『本当?……本当に汚くない?』
と聞いてきた。
堅「ああ。汚くねぇよ。」
オレは、それを拭いながら言ってやる。
『龍みたいにかっこいい?』
Aの不安を取り除くように
堅「ああ。かっこいい。」
と言えば
『……三ツ谷にも嫌われない?』
と恐る恐る聞いてきた。
ここが一番ネックだったんだな。
三ツ谷がそんなんで嫌うならオレ、マジで三ツ谷ボコるわ。
堅「嫌われねぇよ。でも、見せるのは早ぇかんな!交際一日目でとかぬかしたら三ツ谷ぶん殴ってやる。」
『ハハハ、ボコンないでよ。』
Aにまた笑顔が戻ったところでもう一度抱きしめてやるのだった。
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作者名:ミニオン | 作成日時:2023年4月18日 15時