第61話 ページ14
堅サイド
カーテン越しにAの処置が始まった。
Aは、痛みを堪えながら処置を受けていた。
オレの手を握るAの手は、しっかりと握られ痛みを感じる度に力が入っているようだった。
今のオレには、これくらいしか出来ないことがとても歯がゆかった。
なんとか処置が終わり、看護師がカーテンを開け処置カートを持って出ていった。
先「せっかくお兄さんも来てるから一緒に話せるかしら?」
先生は、Aとオレに確認をとった。
堅「オレは、構いません。」
『私も……。』
先「ありがとう!それじゃあ、お兄さん!この椅子どうぞ。」
先生は、オレにベッド横の椅子を進めた。
オレは、進められたままに座った。
『堅兄……。』
Aは、オレに手を差し出してきた。
手を握って欲しいのだろう。
オレは、無言でそれを受け入れた。
先「本当に仲良いね!」
堅「変ですか?」
先「いやいや、兄妹愛に口を出すつもりはないから。さて、本題に入りましょうか!」
先生は、オレにタブレットを見せてきた。
そこには、Aが負った火傷や少し血のにじむ手首の縄の跡、腫れた右肩の写真があった。
オレは、それを見てAを抱きしめ
堅「オレのせいで!巻き込んで悪ぃ!」
こんなことになって、自分が許せなかった。
『堅兄のせいじゃない!みんなのせいでもない!私があの時、一人で行かなければ……。』
Aは、思い出したのか体が無意識に震えていた。
堅「悪ぃA!」
オレたちが落ち着くまで先生は、静かに待っていてくれた。
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作者名:ミニオン | 作成日時:2023年4月18日 15時