第108話 ページ13
意識が黒いものに飲み込まれただ殺意しかなかった。
殴り倒した相手の腕を折り、腹を踏みつけていく。
そいつらが声を上げようが血を吐こうがお構いなく続ける。
どれほどそれを続けたか分からなかった。
そんな時、三ツ谷が慌てて駆け寄り後ろから止められる。
三「やめろ、A!」
『……離して。コイツらが居るから……いけないんだよ?』
そう言っても離すことを辞めない三ツ谷。
私は、もがき何とか三ツ谷から逃れようとする。
『離せ!』
それでも離さない三ツ谷にイライラしていると
場「マイキィィ!!A!!」
と場地の声がした。
その声によって黒いものが払われた気がした。
声に目を向ければ、さっきまで倒れていた場地がヨロヨロと立ち上がり歩き始めた。
場「オレの為に……怒ってくれて……ありがとうな。オレのせいで……辛いことさせちまって……悪いな。」
武「場地君っ!!?」
千「動いちゃダメだ場地さん!!!」
場地は、ゆっくりと歩きながらマイキーと一虎の元へ行く。
その体からは、ボタボタと血が流れている。
堅「場地……。」
三「血が……。」
『場……地……。』
私は、さっきまで入っていた力が抜ける。
三ツ谷は、それを見て握っていた手を離してくれた。
場「オレは、死なねーよ。こんな傷じゃあ、オレは死なねー!!!気にすんなよ、一虎。」
場地は、ポケットから折りたたみナイフを取り出し両手で高々とそれを掲げ
場「オレは……」
その瞬間場地は、深々と自分のお腹にナイフを突き立てた。
場「一虎には、殺られねぇ。」
『……場地ー!!』
その光景を見て私は、喉が壊れると思うほどの大声を上げていた。
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作者名:ミニオン | 作成日時:2021年10月10日 18時