無用 ページ12
Aside
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師範の部屋から飛び出した私は何時間か経った今でも動揺していた。
夕食の買い物に行っても買おうと思っていたものと全然違うものを買うし、きのこの炊き込みご飯にするつもりがさつまいもご飯になってしまった。...ほんとに何してるんだろ...
ご飯が一通り出来上がった頃師範の足音がした。
「うむ!復活早速夕食の用意をしてくれたのか!感心だ!」
腕を組み嬉しそうに居間にやってきた師範はありえないくらいにいつも通りで焦ってしゃもじを落としたりドジをしているのは私だけだった。
なんでこの人私にあんなこと言っておきながら平常心なの...悔しい..
「もももっ...もうすぐ用意できますから待っていて下さいね。」
自分もいつも通り振る舞おうとしたが思うように出来そうにない。
「A。...さっきはすまなかった。」
すると突然師範が私の落としたしゃもじを拾いながら謝ってきた。
「突然変なことを言ってしまったな!そんなに深く考えないでくれ..!」
変なこととは告白のことだろうか...
「師範...私は...」
「...そろそろご飯ですよね!手伝いますよ!」
..."とても嬉しかったです"そう言おうとした瞬間に千寿郎君が居間にやってきた。
はっと我に返って思う。今、彼が来てなかったら私は師範に好きだと伝えていたかもしれない。
...気持ちが昂って忘れていたが怪我をして役に立てない私は師範と結ばれてはいけないんだ。そんなことになったら師範の負担になってしまう。これ以上心配かけたくない。
この屋敷をいつか出ていくことは昔から決めていたことじゃないか。
私が師範を好きな気持ちは何年も隠し通してきた。いつか柱くらい強くなったらこの屋敷を出てその時に気持ちを伝えようとしていたがこんな調子じゃきっともう無理だろうな。
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作者名:野田 | 作成日時:2020年1月23日 21時