Dear person 〜 Still now... (ページ1)

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『ねーせんせ！問2のこれ、なんて読むの〜？』

「ん、どれ…あーこれはね…」

『あーあたしもそこ分かんなかったー！聞きたい聞きたいー！！』

『ねーねー先生ってさー、彼氏いないのー？』

「……みんなが彼女だから、、」

『えーなにそれかっこいいー(笑)！』

あの街を離れてから

もうすぐ1年

ー日本

コーヒーの匂いはしない

おせっかいな優しいおじさんもいない

駅前にある小さなビルの3階

この小さな韓国語教室が今の私の仕事場だ

生徒は主に10代後半の若い子達で

遊びに来るような感覚で来てる子もいれば

夢を追うため韓国語を学びに来ている子もいる

毎日授業が終われば学校の話とか恋の話に花を咲かせて盛り上がって

私もまだ、なんとか話についていけてる…たぶん。

目的はそれぞれでも、根はおんなじ

青春真っ盛りのキラキラした子達に囲まれて

賑やかな毎日を過ごしてた

昔から仕事で韓国と日本を行き来していた父。

この数年は、単身日本に渡って仕事をしていたけど
私が産まれる前は母と2人で日本に住んでいた事もあったらしい。

そんな家庭は普段から自然と韓国語と日本語とでの会話が入り乱れていて。

そのおかげで今この仕事につけたと言ってもいい

1年前

その父が、突然病に倒れた。

母はすぐに日本へ飛んでしばらく看病を続けていたけど

1人慣れない土地で、頼れる人も居ないその生活に疲労しきって

このままじゃ母まで倒れてしまうんじゃないかと思った

きっと、これはちょうどいい機会なんだって

そう思うことにした

ここに

この街にある思い出は

まだあまりにも眩しすぎる

不覚にも泣きながらその事を伝えた時

『なんだよ、別に一生会えないわけじゃあるまいし。日本で職に困ったらまたいつでも戻って来りゃいいよ！』

そう言って笑ったマスター

この間送った手紙、ちゃんと届いたかな…

教室の窓の外

秋晴れというにはまだ少し早い

カラッと晴れた空の向こうに

遠い遠い

あの街を想った

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