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虫眼鏡side
静まり返った待合室に、ドアの開く音が響いた
手術室の方を見ると、そこにはベットに寝かせられたAがいた
医者｢轢かれた衝撃で一時的に意識を失ってましたが、とりあえず頭を縫わせてもらって、この方もラッキーなことに骨などに異常は見られませんでしたよ｣
て｢ほんとですか…！？｣
虫｢はぁ、良かった…｣
としみつは何も言わずに椅子にドサッと座り込み
りょうは、大きく息を吐く
ゆめまるとしばゆーは2人で見合わせて安堵の表情で笑ってる
医者｢意識もだいぶハッキリしてるので、良かったら｣
そう言われて、6人すぐにAに駆け寄る
虫｢A、大丈夫？｣
｢っ、虫さん…｣
と｢馬鹿、ほんとに心配させやがって…｣
｢お騒がせしました…｣
り｢頭切っただけだって、ほんと良かった｣
｢ハハ、めっちゃーラッキー人間だね私｣
ゆめ｢もー、しっかりして？｣
｢ごめんごめん｣
し｢ほんとに心臓止まるかと思ったわもう｣
｢なんとか、ほぼ無傷で帰還しました｣
みんなそれぞれ声をかけて行く中、無言のてつや
それに気づいたのか
｢てっちゃん、気にせんで？ただ単に私のおっちょこちょいだから｣
て｢A…｣
と｢お前も女に先言わせないで心配のひとつくらいしろや｣
どかっと背中を叩かれてビシッと姿勢をなおす
て｢A、ほんとにごめん、今はあれだから後で話すけどほんとに誤解なんだよ｣
｢てっちゃん、もういいから｣
そう言いながらそっと微笑む笑顔は何故か僕には少し恐ろしいものに見えてしまった
て｢分かってくれる…？｣
｢うん、もう色々わかった、だからいいよもう｣
て｢ほんとに、？｣
｢うん｣
良かったぁと言いながらしゃがみこむてつやを皆で励ます
だけどその時に見えてしまったAの一粒の涙
またそうやって何も言わないで傷つくの？
言わなきゃいくら勘が良くてもわかんないって
この場で言うのはてつやにも酷だから敢えて言わなかった
看護師｢ではとりあえず諸々の処置をしてから普通に帰れると思いますので、また暫くお待ちください｣
頭縫ってるのにその場で帰れるの？とも思ったがまぁそれだけほんとに無傷だったんだろうと思い胸を撫で下ろす
し｢じゃあまぁとりあえず今日は俺家近いし送ってく…｣
て｢いや、俺に送らせて｣
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作者名：矢橋 | 作成日時：2020年6月2日 19時
