隣の家のお兄ちゃん～Ren.N～ (ページ8)

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episode8 ページ8

気が付けば私はグラウンドとは別の場所にいて、うっすら目を開けると白い天井が見える。
身体を起こすのがキツくて、頭も少し痛い。

部活動見学をしているときに、部員の蹴ったボールが私の頭に直撃したことを思い出した。
その衝撃で気を失って、誰かが私を保健室まで運んでくれたのだろう。

「A？起きた？」

聞き慣れた、少し高めの声が私の名前を心配そうに呼ぶ。
身体を横に向ければ、廉兄が椅子に座り私を見つめていた。

「あの、私のこと廉兄が運んでくれたん？」

「そやで？何かあかんかった？」

「いや、別に……重たくなかったんかなって」

「全然重たくないわ、逆に軽い方やわ。しっかりご飯食べ？」

すっと廉兄の手が私の頭に伸びてくる。
動物を可愛がるような優しい手つきで頭を撫で続けてくれている。

「廉兄、部活戻らんでええの？」

「Aが心配やから、このまま一緒に帰るわ」

「そっか……ごめん、私のせいで」

「何でお前が謝んねん」

“じゃあ荷物取ってくるから待っといて”そう言い残して廉兄は保健室を後にした。
保険の先生は不在のようで、しんとした空間に一人残される。

思考回路もままならない状態でも、私の頭はしっかりと廉兄のことだけを考えていた。