隣の家のお兄ちゃん～Ren.N～ (ページ18)

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episode18 ページ18

あの日から一週間が経つ。あの宣言通り、私は廉兄に近づくのをやめた。
朝起きる時間も変えて、結局部活には所属しないで。

夕や小瀧さんからは色々言われたけど、もう決めたことだと貫き通した。
廉兄と関わらなくなっても、友だちといるのは楽しいし、飽きも感じない。

だけど、どこかすっぽりと穴が開いたような虚無感に襲われる。
自分でも、この空洞に入るものがなにかなんてわかっている。

わかっているのに、敢えて知らないふりをして、逃げ回って。
代わりとなるものを常に探し求めている。

放課後、重岡先生に呼び出しをくらい一人教室に残っていた。
教室のドアが開く音を察知し、視線をそちらにやる。

そこには、3年生のシューズを履いた美人な人が、笑みを浮かべて立っていた。

「Aちゃんってあんた？」

「そう、ですけど。何か用ですか」

「一応挨拶しとこう思って。うち、永瀬くんとお付き合いしてんの」

頭が急に痛くなった。目の前の景色もぼんやりとして見えた。
放心状態の私に、構わずその人は言葉を続ける。

「昨日からやねんけど、うちから告白してOKもらってん。
　ほんまにごめんなぁ？うちが永瀬くんとってもうて」

「……いえっ！私、他に好きな人いるんで！
　廉兄のこと、よろしくお願いします！」

「言われんでもわかっとるよぉ。じゃ、それだけやから」

また、オレンジ色の教室に一人になった。
頬を伝う涙が床にポタポタと落ちていき、水溜まりを作る。

しばらくしてやって来た重岡先生に心配されたけど、目にごみが入ったと誤魔化して笑う私は、きっと滑稽なんだろう。