隣の家のお兄ちゃん～Ren.N～ (ページ1)

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春風の吹く暖かいこの日。私は真新しい制服に身を包み、玄関のドアを勢いよく開ける。
今日から華の女子高生ライフを送る、私大宮A。

玄関先で待ってくれていた廉兄の元へ駆け寄り、にぃっと笑顔を浮かべてみせる。
廉兄は、隣の家に住む私の二個上の高校三年生。

小さいときから常にそばにいて、お兄ちゃん的存在であった彼のことを“廉兄”と呼んでいる。
二人でどこかへ出掛ければ、本当の兄妹と間違えられることも多い。

ずっと兄妹のままの関係なんやろな、と考えていたが、それは間違いだった。
今、私の隣を歩くイケメンモンスター永瀬廉に、いつしか恋心を抱いていた。

一時期は、廉兄も私のことなんてただの妹としか思ってへん、と自分に言い聞かせて諦めようとしたこともあった。

しかし、そう簡単に諦めることなどできるはずもなく、片想いを拗らせたまま高校生へとステップアップしてしまったのだ。

「A、さっきから百面相してどないしたん？」

「えと……緊張してんねん！友だちとかできるか心配やし！」

「そんな心配せんでも大丈夫やって！Aは可愛いし、すーぐ友だちできると思うで？」

そう言って廉兄は笑顔で私の頭をわしゃわしゃと撫で回す。
喜んでいるのが顔に出ないように努める。

「もう！いつまで子供扱いしてんの？今日から私も高校生で、大人になるんやから！」

「どこが大人やねん！俺からしたらまだ生意気な小学生にしか見えへんわ」

「何で小学生なん？！せめて中学生にしてや！」

「あーもーはいはい、あんま鳴かんといてや。耳キーンなるやろ」

「廉兄が元凶やろ！」

こうやってしょうもないことを話せるのは、私だけの特権。