episode16 ページ16
お腹を満たした私たちはお店をあとにした。
このあとも小瀧さんたちと一緒に行動することになるんかな。
横目で小瀧さんの顔を見ると、バチっと目があった。
小瀧さんは優しく微笑みかけて、口を開いた。
「ほんなら、ここでお別れにしよか」
「え?一緒に行動せんの?」
「紫耀はもうちょい空気読もな?んじゃ、また明日〜」
小瀧さんは紫耀くんの腕を強引に引っ張り、人混みの中へ消えていった。
空気読めって、小瀧さん。貴方が言えることじゃないだろうに。
「なぁ、A」
「んぇ?何?」
急に名前を呼ばれ、変な声が出てしまった。
廉兄は真剣な眼差しで私の目を見つめるが、一向に口を開こうとはしない。
「……やっぱ何でもないわ。次どこ行く?」
「え?あぁ……本屋さんに寄りたいねんけど、いい?」
「ん、じゃ行こ」
先程までの優しかった表情は消え、どこか冷たく接する廉兄に違和感を覚える。
何かいけないことでもしたかと、頭をフル回転させて考える。
しかし、いくら考えても答えが出てくることはなく、不安を抱いたまま廉兄の隣を歩く。
本屋につき、愛読している漫画の5巻を購入する。
幼馴染みとの恋愛模様を描いたものだ。
「Aってそんな感じの漫画好きなんや」
「うん、めっちゃキュンキュンすんで?
こーゆー恋、めっちゃ憧れるわ」
「ふーん、そうなんや」
素っ気ない返事をしたきり、また黙りこんでしまった。
本屋を出たあとも、どこか遠くを見つめていて、こっちまで調子が狂ってしまう。
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作者名:も。 | 作成日時:2019年9月20日 0時