【忍たま】忘れたくない人2

帰る ページ22

医務室に戻った私は再び暇な時間を持て余すようになった


伊作は包帯の巻直しなどをするために医務室に来てくれるのだが何故か異様に緊張しているのは私だけなようで伊作は前と何ら変わらない様子で接してきた


伊作のその態度も相まって私は彼の言葉にどう応えるべきなのかどんどん分からなくなっていった


けど早めに返事をした方がいいのはさすがの私でもわかった


善「じゃあAちゃん、僕はもう行くけど無理はしないようにね」


「それ今日で5回目だよ伊作」


善「そこまで言わないと君は聞かない気がしてね」


「大丈夫だから安心して授業に行きな、遅れちゃうよ」


善「それじゃあまた包帯変えに来るからね」


そう言って伊作は部屋を後にした


私はボスっと仰向けになって布団に倒れ込んだ


(私っていつ帰れるのかなぁ、)


私は意識がない時にみた夢のことについて思い出していた


事故にあったあと私はあの病室でずっと寝たきりの状態なのではないかと思った


今意識があるのはこっちの体だし、病室の方に意識があったらそれはそれで困る


ということはまだ私は向こうの世界に帰れる可能性はゼロではない


けれど問題はどうやって帰るか


(わかんな)


何も案が出ない私は天井を見つめたままぼーっとしていた


そしてふと思った


(あ、向こうの世界に帰るってことは八左ヱ門ともお別れじゃん)


それに気がついた私は何故か八左ヱ門に対しての恋心が酷く悲しいものになってしまった気がした

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