下がる熱も下がらんわ ページ15
『いやいやいや、いやいいです、いいです
一人で、食べられます
スプーンと、おかゆ、こっちに、渡してください』
Aが必死で差し出されたスプーンに口を近づけずに北にそうお願いする
いつもならノンブレスで言えるその言葉も
高熱のせいで途切れ途切れだった
しかしこうなった北がそれを譲る訳がない
北「ペットボトルもろくに持たれへんかった奴が何言うてんねん
食わせたるゆーてんねんからはよ食えや」
『え、えっと、あっ、私、猫舌なんで、あついのあかんのですよ
せやから、しばらくしてから一人d』
北「なんや猫舌なんか」
『えっ』
納得したように頷いた北が
つけていたマスクを外して、
その一口分のおかゆに
ふー、ふー、
と息を吹きかけてまた差し出してきた
北「これでちょっとはましやろ」
『はへ』
北「いい加減はよ食え」
『むぐっ』
半ば無理矢理に口にスプーンを突っ込まれる
Aはおかゆが好きだったりするが
その時ばかりは米の味を噛み締めている場合ではなかった
だって今自分の口に入れられたおかゆは
北が自ら冷ましてくれたおかゆだ
『(ね…熱あがる…！！)』
また一口、また一口と、
そのおかゆは容赦なく差し出されてくる
Aの頭は既にパンク状態だった
北「ん、よう全部食べたな」
無心で食べることを決め込んで
黙々と口を動かしていると
Aはいつの間にかおかゆを食べ終えていた
北が「えらいな」と、Aの頭を撫でる
解熱剤を水と一緒に飲まされて
またベッドに寝かせられた
北「ほんならA、ちょっとしばらく寝といてくれ
双子の様子見に行ってくるわ」
おかゆの皿を洗い終わって
Aの部屋に戻ってきた北がそう言う
北「じゃあまた戻ってくるから_____！」
行こうとした北のワイシャツの袖が
弱々しい力で引っ張られた
北「A？どうしt」
『いや…いかんといて、くださ…』
北「！」
そう言ったAはひどく寂しそうな顔で北を引き留めていた
"精神もぐずぐずらしいわ"
北はアランの言葉を思い出していた
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街角のドーナツ屋(プロフ) - ゆちゃさん» 読んでいただいてありがとうございます！楽しく読んでいただけたなら幸いです🌺 (2月11日 14時) (
レス) id: fc42df1d28 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃ(プロフ) - あつむもおさむもすきです。北さんとのハッピーエンド嬉しかったぁ！一気に読んじゃいました！ (10月1日 15時) (レス) @page21 id: 7447c314b6 (このIDを非表示/違反報告)
街角のドーナツ屋(プロフ) - ササミさん» めっちゃ前に完結した作品がササミさんの目に留まってコメントまでいただけて本当に嬉しいです！！すごく誉めていただいて自信に繋がりました！こちらこそありがとうございます！！ (2021年10月17日 22時) (レス) id: 282020a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
ササミ - 泣きました…めちゃくちゃ心に沁みる作品でした…最高…！！！！文章も丁寧で分かりやすくてスッと入ってくるし、感情移入しちゃってボロボロ泣きました…！！！！！！本当にこの作品に出会えて良かったです！！！！ありがとうございます！！！！ (2021年10月13日 12時) (レス) @page21 id: d4ec8dfdb0 (このIDを非表示/違反報告)
街角のドーナツ屋(プロフ) - 美輝さん» ありがとうございますめっっっっっちゃうれしいです！！！！たくさん感情移入してくださったみたいで(*´∇｀*)誰かの楽しみになっていると知れたのほんとにうれしいです、最後まで読んでくださってありがとうございました！！ (2021年3月10日 7時) (レス) id: 282020a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：街角のドーナツ屋
| 作成日時：2020年4月11日 16時
