その無自覚、どないかならん？―FINAL―【稲荷崎】

死にかけの末っ子 ページ14

尾白「_____というわけで、治から合鍵借りて世話しにきた」

『まじですかぃ…
すんません…』




真っ昼間に部屋の扉をノックされて

どんな丁寧な強盗が来たのかと思えばアランと北だったことに安堵したAが
申し訳なさそうに謝る




文字通りAは死にかけだった

熱を測ると39度にものぼっていて
とんでもなく寒そうに震えていた



Aはしんどすぎて
『アラン君、マスクと肌のコントラストえぐいですね』
なんていう冗談も言えなかった




北「いったい何がどうなって豪雨のなか喧嘩することになるんか知らんけどな

揉めるんやったらもっと場所選びい」




アランがおかゆを温めに一階の台所に向かった直後に、北はさっそくAに正論パンチを食らわせる


Aはまた、北のAへの好意の有無を疑いたくなった




北「側のアクエリも全然減っとらんし
朝から水分とっとらんのやろ」

『う…はぃ…』

北「しんどくても水分と栄養はとらなあかん
とらないつまでも治らんよ」




そう言った北は

ゆっくりとAの上体を起こすのを手伝って、キャップを開けたペットボトルをAに差し出す




北「ほら、ちゃんと飲み」

『どうも…』




ぐらぐらと安定しない上体を補助しながら
北がAがちゃんと水分をとるのを見守る


水分をとらせた後も

首元などの露出している場所の汗を拭いたり
冷えピタを取り換えたりして

真面目にAの看病をした




尾白「思ってたよりもひどいな
あのAが冗談の一つも言いよれへん」

北「判断基準おかしないか」




看病をしていると
おかゆを持ったアランが部屋にもどってくる




尾白「治はそれなりに元気そうやったけど、侑もけっこうしんどそうやったからちょっと心配やわ」

北「そうやな
アラン、ちょっと先に見に行ってくれへんか
後で追いかけるから」

尾白「おう、わかった」




北の言葉に従って
アランがAの部屋を出て双子の家に向かう




北「A、しんどいかもやけどおかゆ食べ」




北がまたAの上体を起こす

スプーンを受け取ろうとして
マスクを外したAの右手が差し出された


しかしそこには何も置かれることはなかった




北「？
何やその手

はよ口開けぇや」


『…………………………………………えっ』




そう言ったAの目の前の北は

左手にあつあつのおかゆの入った皿を持っていて

右手にはおかゆを一口分すくったスプーンを持っていた

下がる熱も下がらんわ→←三つ子が風邪ひいた

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