迷子2 ページ10
『これでよし
もう大丈夫やで』
「あ、ありがとう…」
Aが笑顔でそう言うと、小学校にあがっているかあがっていないかくらいの男の子は照れくさそうにお礼を言った
『あ、あとこれ、財布
さっき落としたやろ』
「!!」
その財布をみて、男の子はなにかを思い出したようにまた目に涙をためた
子どもの扱いに慣れていないAがあたふたする
北「何や、もしかして迷子か?」
『え』
男の子はこくり、と頷いた
Aも納得したような顔をする
身近に小さなこどもがいるわけではないが、小さなこどものような双子とAを毎日あしらっている北は、慣れたように男の子に話しかけた
北「自分、名前は?」
「れ、れん」
北「そうか、れんくんか
れんくんは誰と来たん?」
れん「おにーちゃん」
北「お兄ちゃんかあ
お兄ちゃんの名前はわかるか?」
れん「…??おにいちゃんはおにいちゃんやで」
北「…せやな」
Aの目の前で、北が淡々と男の子に質問する
それでも、Aが話しかけるよりかは幾分も落ち着いて、迷子の男の子、れんは答えていた
どうやられんという6歳の少年は、17歳の兄とこの祭りに来て、兄が焼きそばを買っている間に見つけた猫を追いかけて、はぐれてしまったらしい
れん「おにーちゃんはめーっちゃ大きくてつよいねん!!
めちゃめちゃかっこいいんやで!!」
兄の名前は不明、特徴はそれだけ
6歳の子どもの言うことなので、北は動じなかったが、Aはあまりに絶望的な情報量の少なさに顔を歪めた
北「大丈夫やでれんくん
俺とこのヤンキーのお姉さんが
お兄ちゃんのこと一緒に探したるからな」
『!!』
れん「ほんまに…?ありがとう…!」
"お姉さん"
"お兄ちゃん"
普段、北の口から出るはずもない単語を聞き取ったAは萌え死にそうになったが、必死に耐えて北にこそりと話しかけた
『あの、北さん
情報量絶望的ですけどみつかるんですかね』
北「さあな」
『さあって…!』
北「あんな、A」
北がAの目をじっとみる
北「見つかるか、やなくて
見つけるんや
今一番不安なんはこの子やねんで
そんな子の前でそんな不安そうな顔したらあかん」
『!』
どきり、とAの心臓が跳ねた
え、今ときめくとこあった?え?
と思う人もいるかもしれない
しかしAには、そう言って真っ直ぐ前を向いた北がかっこよくみえて仕方がなかった
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街角のドーナツ屋(プロフ) - ひなたさん» ありがとうございます(*´∀`*) (2020年3月22日 1時) (レス) id: 282020a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた - イラストはとてもお上手なので、事実です!2回褒めました!!笑笑 (2020年3月22日 1時) (レス) id: cc9cbc4c25 (このIDを非表示/違反報告)
街角のドーナツ屋(プロフ) - まっちゃあああさん» ありがとうございます!頑張ります〜!! (2020年3月21日 23時) (レス) id: 282020a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃあああ - とても面白いです!更新頑張ってください!(о´∀`о) (2020年3月21日 22時) (レス) id: b96f43fad0 (このIDを非表示/違反報告)
街角のドーナツ屋(プロフ) - バカで変人な天才さん» ありがとうございます〜〜!!( *´艸`)絵も誉めていただいてとってもうれしいです( 〃▽〃)がんばります! (2020年3月21日 21時) (レス) id: 282020a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:街角のドーナツ屋 | 作成日時:2020年3月16日 23時