その無自覚、どないかならん？２【稲荷崎】

ちょっとだけ我儘ゆーていい？ ページ49

一将「久しぶりに会えて嬉しかったわ」

『…うん、わたしも』

一将「バレー部の子ら…Aの仲間は、めっちゃ素敵やねえ」



一将がバレー部の方をみてクスクスと笑った



『仲間…うん、そうやな、仲間や
せやろ、素敵な仲間やろ！』



Aが嬉しそうな顔をする

一将もその笑顔をみて嬉しそうにした



侑「一将ーーー！！！」

治「一将さん！！」

一将「うわっ！侑、治！」



列車出発間近、双子が一将に抱きついてきた

一将が二人を受け止める



侑「次帰ってくるときは俺らとも遊んでな！！」

一将「はいはい笑
いつ帰れるかまだわからんけど、お盆には帰りたいと思っとるよ」

治「！！
一将さんの夏野菜カレー食いたい！！」

一将「つくったるつくったる」

双子「一将(さん)大好き！！」



双子が一将に抱きつく手にさらに力を込めた

Aが羨ましそうにそれをみる

それに気がついた一将は
双子を両端に寄せて、一将の胸の正面を開けた



一将「Aもおいで」

『！』



Aが嬉しそうにそこに飛び込んだ



侑「うわ！待って狭い！」

治「あついあつい！」

一将「ごめんごめん、俺の手がもうちょい長ければよかってんけど」

『ちょっと双子潰さんといて！！』



文句を言いながらも、三人とも楽しそうに笑う

一将も楽しそうに笑いながら
Aにきいた



一将「A、学校楽しいか？」

『……うん！たのしい！！』



Aが満面の笑みで答えた



一将「そうか、楽しいかあ！
それが聞けただけで、十分やなあ」



一将が天に向かって笑った

その目には、うっすらと涙が浮かんでいた









一将「じゃあ、元気でな」

『うん
お父さんも、元気で』



列車の中と外

扉の開閉ラインを挟んでAと一将は笑いあった

Aの隣では北が時計を確認した



北「…そろそろか」

二人「！」



北が呟いた言葉に一将とAが少し固まる



一将「…じゃあ、また電話するかr」

『お父さん』

一将「？」

『学校は楽しいし
宮家も落ち着くけど』



Aが一呼吸おいて
また口を開いた



『やっぱり、寂しい』

一将、北「！！」



それを聞いた一将と北が目を丸くした



『せやから、お盆、絶対帰ってきてな』

一将「…うん、うん
絶対、絶対帰るわ
約束する」



一将は泣きそうな顔でそう言って

その言葉を聞いたAは嬉しそうに笑った

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