その無自覚、どないかならん？２【稲荷崎】

大門には崇められました ページ4

『おはようございますー』

治「おうA、おは……え」

部員「！？」



テスト明け

ついでに梅雨明けの朝

早い時間帯から久々の朝練が始まろうとしていた



そして、いつものように外での作業を終わらせて体育館に入ってきたAを見て、部員全員が目を丸くした



侑「どっ！！！えぇ！？
Aお前！！それ！！！」

『え？』

銀島「どないしたんや！！！その髪！！！」



一番最初にそばに駆け寄ってきたのは侑と銀島だった



『あ、これ？…えへ
染めなおしましたあ』



Aの髪色は、黒からド派手な色に変わっていた

春先は桜色系統だった髪は
夏前の今、エメラルドグリーンを主とした寒色系統のグラデーションになっている


Aが突然染めなおしたこともそうだが、あまりに綺麗な色だったため、たくさんの部員がAに群がって騒ぎ始めた



赤木「へえ！ええやんこの色！
なかなかかっこええなあ！！」

『ありがとうございます！』

角名「久々に桃瀬と会ったって感じがする」

治「うん、よかったわほんま
Aが黒髪の間見つけんの割りと大変やってんな」

角名「あ、それわかる」

『おいちょっと待てお前らは髪色で私を判断しとったんか！？』



ギャーギャーと騒いでいると、
向こうの方から



北「練習始めんで
Aが髪染めなおしたどうのこうのの話は練習の後にせえ」



と、北さんの濁りのない綺麗な声が響いてきた

その言葉に、部員は心臓を跳ねさせ、冷や汗をかきながら急いで北さんのもとへ向かう


一方でAは、目を丸くした後
少し寂しそうに目を伏せた


それに気づいた侑は
一瞬、不機嫌そうに眉を寄せたが
すぐに嬉しそうな顔に戻って、俯くAの頭をポンポン、と撫でた



侑「A、その髪よう似合っとんで
やっぱお前は髪色ギラギラしてるほうがかっこええし落ち着くわ
それでこそA！って感じやな」



Aが顔をあげる



侑「何か、俺の知ってるAが戻ってきた感じして、めっちゃ嬉しいわ！
おかえり！」

『！』



珍しく、侑が無邪気な笑顔をみせた

Aは目を丸くした後、気恥ずかしそうに頭を撫でる手をはたいた



『ずっと私はお前の知ってる私やろが
根は何も変わってへん』

侑「…うん、せやな
じゃあまたあとでな！」



こちらに手をふりながらみんなのもとへ駆けていく侑の姿を、Aは愛しそうに見つめた



北「...」

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