その無自覚、どないかならん？２【稲荷崎】

え、双子の父ですか？ ページ27

バタバタとAたち二年五人が廊下を走る

しかし玄関で靴を履いたのは双子とAだけだった

角名と銀島は三人が見えるところから見守る



『お父さん！！』

双子「おとーん！！」



三人がそう呼びかけると、
宿の表にいた一人の男がふり向いた



「A！侑！治！
ひっさしぶりやなぁ〜！！」



ふり向いた180前後の高身長の男は
子どものように幼い笑顔で三人の名前を呼んだ

その男は、東京で単身赴任中のAの父親、桃瀬一将(ｶｽﾞﾏｻ)だった



『な、何でこんなとこn』

侑「うわうわうわほんまに一将や！！
ちょっと老けたんと違う！？」

治「相変わらずAの父親とは思えん顔の綺麗さやな」

『おいこらお前らはお父さんの息子か！！！
先に実娘と話させろや！！』



話しかけようとしたAを押し退けて一将の前に出た双子をAが押し退けてさらに前に出た



一将「ふ、あっはは！
三人とも相変わらずで安心したわ
この感じ久々やなあ、落ち着くわあ」



それをみてまた一将が大笑いする

Aはもちろん、
双子は無邪気で容姿端麗な一将のことが大好きだった



一将「Aがバレー部で東京いくってゆーてたやろ？
せやのに会いに来んわけないやんか」



一将がAの頭を撫でる

嬉しそうな顔をするAをみて
両端の双子がまた身を乗り出した



侑「ちょ！俺も！！俺も撫でてや！！」

治「一将さん俺も…」

一将「はいはい笑
二人とも、全国出場おめでとうな
この前会社の同僚に見せてもろたんやけど、月バリでバレー界の期待の新星やゆーて双子で特集されとったやろ
かっこよかったわあ、誇らしなった」

侑「ふ、へへ」



一将に撫でられて、双子が嬉しそうに微笑む



一将「あ、でも、同時にちょっとおもろかったで
治は何やいつも通りな感じしたけど侑、顔めっちゃキメてたくない？
俺あんな笑ったん久々やったわあ」

侑「き！？キメてへんよ！！
俺はいつもあの顔や！！」



侑が恥ずかしそうに頬を染めて怒る



『ん？その月バリの特集って確か取材中に侑と治がケンカして"稲荷崎高校名物、宮兄弟のケンカ！"って見出しの記事も書かれてたよな
北さんにあのあとめっちゃ怒られたやつちゃうん』

双子「！！」



双子が肩を揺らす



一将「あー！みたみた！！
もうなんや、全然変わっとらんなと思ったわ」



一将がまたくっくっ、と笑う

久々のその男の笑顔に、Aと双子の三人は顔を見合わせて、嬉しそうに、同じように笑った

不審者やと思ったんや…→←仲良しか。

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