その無自覚、どないかならん？２【稲荷崎】

俺がどんな気持ちで。 ページ19

『なあちょっと侑！侑って！！』



Aの手を掴んだまま、振り返ることなくずんずんと歩いて家の方に向かう侑に、Aが必死に呼びかける



『あんな別れかたあかんて侑！先輩らに失礼や！』

治「Aのいう通りやツム
さすがにちょっとこれはまずいd」

侑「うっさいなちょっと黙れや！！」

二人「！！」



そう怒鳴った侑は、突然ﾋﾞﾀﾘ、と立ち止まった

明らかに怒っている声に治は目を丸くし、Aは冷や汗をかく

侑が振り返ることなく声を出した



侑「ほんまAお前ふざけんのも大概にしろよ！！
何も言わんと急におらんくなりよって！！
どんだけ探し回ったと思っとんねん！！
おかげでせっかくの祭りが台無しやわ！！」



侑が背を向けたままAに怒鳴る



侑「ほんでこっちが状況わからんでぐるぐる探し回っとる間にお前は北さんと呑気にデートか！！
そんなんしとる暇あったら連絡の１つでも寄越さんかい！！」



どんな理由があれ、
侑の言うことはもっともだった

北もAも何も連絡しなかったことでたくさんの人が必死になって二人を探し回ったのだから。

Aが申し訳なさそうに俯く



『ご、ごめんなs』

侑「ほんまっ…ほんまにふざけんなよ
ほんまムカつくわ…！！」



絞り出したような声に、Aはﾊｯとして顔をあげた



『！
あ、つむ』



振り向いた侑は、泣きそうな顔をしていた

見ている方が胸が締め付けられるほど、切ない顔



侑「ほんま、ほんまに、どんだけ心配したと思ってんねん！！
誘拐されたとかやったらどうしようって、
二度と会われへんかったらどうしようって…！
大袈裟かもしらんけど、こっちはほんまに心配したんやぞ…！！」

『侑…』



Aはてっきり、侑は自分たちを探すことで浪費した時間を返せと、祭りの楽しみを返せと怒っているのだと思っていた

しかし目の前の侑の表情が、言葉が、声が、そんなことではないと語る



侑「ほんまっ、ほんまにムカつくわ
ふざけんなよくそA…！！」



ついに、侑の目からボロボロと涙が零れた

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