50 fukazawa ページ12
俺とAちゃんの焦ったく儚い日々は、ゆったりと続いた。
週に1回会えればいいかな？といった頻度でどちらかの家に行き顔を合わせ、最近あったことを話す。
たったそれだけと言えばそうだけど、俺のこれまでの恋愛の中のどれよりも、小さな変化もまとめて愛せるくらいに、幸せな日々。
錆びれて変な音がする玄関を開けると、「お疲れ様です。お帰りなさい」と覗く顔や、暖かく香ばしい料理の香り、綺麗に手入れのしてある観葉植物が風に揺れる音、全部が嘘みたいに綺麗で、大好きで。
流れるように過ぎていく毎日に、季節に、身を任せていたら、いつの間にか秋になった。
数ヶ月前に提出した脚本コンテストの結果発表がもうすぐらしく、ここ最近のAちゃんは珍しく落ち着きのない様子だった。
「ねね、緊張してる？」
「してます」
テーブルを挟んでご飯を食べている時、スマートフォンを見たり、カレンダーを見たり、落ち着かないAちゃんにストレートに聞けば、ストレートに言葉が返ってくる。
「ふふ」
「笑わないでください」
「かぁいい」
俺が言うと、Aちゃんは少し顔を赤らめながらも、少し呆れた顔をした。
正直すんごい可愛い。
きっとまた俺はニヤニヤしている。
小さなテレビの音が耳を通り過ぎていくのを感じて、沈黙が心地いいような、気まずいような。
きっと、俺が思うよりもAちゃんは、自分の作品が「評価」されることに緊張しているんだろうな。
「結果がどうであれ、行動したことがまず凄いと思うのよね。俺は」
「…」
俺の言葉にAちゃんは箸を止める。
「俺も表で仕事してるからわかるけど、歌でもダンスでも脚本でも何でも、他人からの評価をどストレートに受けることってなかなか無いからさ、緊張するよね」
Aちゃんは変わらず、俺を見ていた。
「チャレンジは成功するための近道じゃなくて、自分の可能性を広げるための近道だからね」
Aちゃんは、少し間を置いてから、今度は「うん」と一つ頷いた。
俺だって、俺なりに苦労しているわけだし、Aちゃんの気持ちだって分かる。
今はフリーターとアイドルで、なかなか気持ち的に差を感じるかもしれないけれど、俺はいつだってAちゃんを近くに感じているのだ。
そして、Aちゃんは、止めていた箸をもう一度動かし、ご飯を口に運びながら、
「…好きです」
と一言。
…ん？
『好きです？』
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name - 2個のコメントを書いた者です。2個のコメントを消していただきたいです。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。 (2023年2月21日 23時) (
レス) @page10 id: 06057a0d21 (このIDを非表示/違反報告)
name - (続き)お忙しいと思いますが、よろしくおねがいします! (2022年12月11日 0時) (レス) id: 22bcb9612f (このIDを非表示/違反報告)
name - はじめまして!素敵な作品なので感動してます!minmin様の他の作品が読みたいので@snmn＿minminを検索したのですが、見つかりませんでした!こちらの機械の不具合かもしれないのですが、アカウントの探し方を教えてほしいです! (2022年12月10日 23時) (レス) @page10 id: 22bcb9612f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：minmin
| 作成日時：2022年5月24日 19時
