22話 ページ22
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旅館に無事着いた私たちは、予定通りそれぞれ温泉に入っていた。
────部屋に露天風呂付いてたけれど、こっちの大浴場に来て正解だった。平日なのと、この時間だからか私しかお客さんがいない。
快適…日々の疲れが本当にとれている気がする。
一つだけ、気になることがなければ温泉を純粋に楽しむことができたのに。
わざと意味深なことを言って私を悩ませる。
性格が悪い。そんな人を愛してる。
──────思い出す、か。
五条さんが高専時代のサングラスをかけてきたということが、分かりやすすぎるヒントだから高専時代のことは間違いない。
だから、高専の時のことを思い出していけば…いや、五条さんのことだから今日のサングラスだけがヒントじゃない。
きっと、ずっとヒントを与えてくれている。
つい最近のことから思い出していけば、新しいヒントも見つかって、問題が解決するはず。
「……………」
△
△
△
「A、温泉どうだった?」
部屋に戻ると、五条さんが椅子に腰掛けてくつろいでいた。
私は口角を上げて、「すごく気持ちよかったです。疲れもだいぶ取れました」と言って、五条さんの隣に座る。
「五条さん、すみません。」
「え?」
「私の頭では、何も思い出せませんでした。ただ、高専生の時の自分と五条さんに何かあった、という記憶を自分が忘れていることが分かりました。そして、一つだけ思い浮かんだことがあります」
つい最近のことを事細かく思い出した。
五条さんが酒に酔った私を家に連れて帰ってくれた時、誰にも話したことがないのに、五条さんは私が朝にすこぶる弱いことを知っていた。
いつから私のことが好きなのか聞いた時、はぐらかされた。
五条さんなら恥ずかしげもなく話しそうな話題だったのに。
そもそも告白して振られた次の日、交際を飛び越えて結婚したいくらい私が好きっていうのが普通に考えてあり得ない話。
五条さんは普通ではない。
だから敢えて"普通の考え"を考えた。
高専時代に大して仲良くなかった後輩が大学に入った瞬間、急にアプローチをするだろうか。学生時代の私のことを好きになるきっかけもないのに。
「私たち、学生の時に付き合っていたんじゃないですか?」
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えむむ(プロフ) - grayさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると、この作品を作って良かったなと思います…!毎日更新が中々できず申し訳ありませんが、更新頑張ります‼︎ (2月4日 22時) (レス) id: 2134a4f440 (このIDを非表示/違反報告)
gray - このお話大好きです!天才様ですか?!これからも更新頑張って下さい!応援しています! (2月4日 11時) (レス) @page19 id: 4f299cc4a1 (このIDを非表示/違反報告)
えむむ(プロフ) - かくざとうさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をありがとうございます…!一緒に更新頑張りましょう‼︎ (2月3日 15時) (レス) id: 2134a4f440 (このIDを非表示/違反報告)
かくざとう - タイプのお話過ぎて…!!(尊) これからも頑張ってください…!! 私も更新頑張ります…!! (2月3日 2時) (レス) id: df66def1dc (このIDを非表示/違反報告)
えむむ(プロフ) - 夏斗さん» 夏斗さんありがとうございます、、!おかげさまで良くなってきました! (12月28日 19時) (レス) id: 51bce72f63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えむむ | 作成日時:2023年12月21日 18時