4-確信(夢主) ページ5
*
それから私は、生年月日、芸歴、母校など、色々な質問をした。
全て正解。
…でも、まだだ。
ここまではにわかでも調べればすぐに分かる。
そこから私は、作曲家の名前、部屋の間取り…と段々マニアックな質問をしていった。
…どれも正解だった。
「ねぇ……そんなことまで知ってるなんて、君ってもしかしてスト」
「私のことは、後で話します。それよりも、質問に答えてください」
「…分かったよ…」
早乙女学園時代、仲が良かった学友は、という質問で、嶺二(仮)の顔が曇った。
だが、答えは正解。
それならばと、私はさらに深い質問をした。
「…じゃあ、愛音さんが失踪する前の電話に嶺二がかけた言葉は…」
「ちょちょちょ、ちょっと待って、……どういうこと？なんでそんなこと知ってるの？愛音が失踪する前にぼくに電話をかけたなんてこと、本当に一部の人しか知らないはずなのに」
……というか、あまり、思い出したくないんだけど……。そう零した嶺二の顔は、本当に苦しそうで、辛そうだった。
「………ごめん。さすがにその質問には答えられない。」
そう、嶺二は言った。先程の様子が嘘のように、下を向いて。
………あぁ、きっとそうなのだ。この人が。もし他人ならば、こんな反応はしないだろう。信じてもらうために、きっと答えを言っただろう。
もしかしたらそれも演技かもしれないが、私はもうほとんどこの人が嶺二なのだと確信していた。
…もし、そうならば、私は酷いことを聞いてしまった。
彼の暴かれたくない記憶を暴くような、そんな無神経な質問をしてしまった。
こんなにも大好きな人に、私は本当に酷いことをしてしまった。
「……ごめん、なさい……」
「……え、なになに、どったの？いきなり泣いて…」
嶺二は私の言葉に顔を上げると、涙を零す私に驚き、そっと涙を拭ってくれた。
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作者名：レナ | 作成日時：2020年5月1日 11時
