天才科学者の憂鬱

24-君と恋人に3(夢主) ページ25

*



「…僕と婚約者になるのは、嫌？」

「嫌、では…ない、ですけど……
…普通、こういうのって、まずは付き合って、お互いを知って…それから、決めるものじゃないんですか」


私は恐る恐る言葉を紡ぐ。


「じゃあ、付き合えばいい」

「えっ！？！？！？」

「…なんでそんなに驚くの」


空助さんと……付き合う！？
いや待って、それってどういうこと！？
ダメだ、婚約者の時はあまりに自分から遠くて、あんまり考えられなかったけど、付き合うって言われると…

つまり…それって、空助さんと、恋人になる、ってこと……！？
ていうか…


「私、空助さんのことが好きなんて、一言も言ってませんよね！？」

「…？なに今更。そんなこと、言わなくてもわかるよ。」


空助さんがゆっくりと私に近づく。


「…君は、僕のことが好きでしょ？」


目を細めて囁かれ、私は真っ赤になってしまった。


「あはは！真っ赤だ。ここまで分かりやすいと逆に心配になるね」


空助さんが楽しそうに笑う。

あんな近くで囁かれたら、誰だって真っ赤になりますよ…！！！


「じゃあ、今日から僕達は恋人、ってことで。…それならいいでしょ？」


空助さんに微笑まれ、私は、「…はい」と小さく頷くことしか出来なかった。

すると、空助さんは恭しく私の手を取り、手の甲にそっと口付けた。


「…これからよろしく、A」

「…！！」


私は色々と脳の処理が追いつかなくて、口をぱくぱくとさせてしまう。空助さんはそんな私の様子を見て、また楽しそうに笑った。

やっぱり、からかわれてる…！！

胸がドキドキと脈打つ。
これは恐怖でもなんでもなくて、目の前の人が愛しいと全身で感じている幸せの音だった。

空助さんと恋人になれるなんて思ってもいなかったし、想像も出来なかった。
…というか、それって結構大変なことなんじゃ…
そう考えかけて、やめた。

今は、想いが通じあった幸せを噛み締めていようと思う。

これから…何が起ころうとも、きっと彼と一緒なら大丈夫。そう思えた。




Fin*

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